牛乳は骨に良いのか悪いのか?研究について


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こんにちは、今日の更新は、牛乳が骨に良いのか悪いのかという話です。
牛乳は骨に良いというのが定説ですが、骨に悪いという説があるのはご存知でしょうか。
実際には骨に良いのか悪いのか、色々な報告や研究を交えて書いていこうと思います。



■牛乳が骨に悪いという説

牛乳が骨に悪いという説は、検索してみるとたくさん挙がっています。
骨を形成するのに必要な、マグネシウムやリンのバランスが悪いため骨が作られないだとか、
たんぱく質が血液を酸性に傾け、中性を維持するためにカルシウムを使用してしまう等です。

これらは、こちらの記事で紹介しましたが、メカニズムを説明しそれっぽく言っているという例です。
しかし、実際に人体に入った時にどうなるかはわかりません

牛乳自体のマグネシウム量やリンのバランスは悪いかもしれませんが、牛乳だけを飲んで食事を終えるわけではありませんし、
他の食品からマグネシウムやリンは摂取されます。
他の食事を合わせて考えると、それだけで骨に悪いとは一概に考えられません。

そしてたんぱく質がカルシウムの排泄を促すのなら、肉類や大豆類も全てダメなのかという話になります。

中には、こんな文章も。
牛乳に含まれる乳糖ラクトースを、腸内の「ラクターゼ」という酵素で分解する必要があるのですが、
人間は乳幼児期をすぎるとラクターゼの分泌が止まってしまうのです。
つまり、乳児を除く日本人の腸には、牛乳のカルシウムを吸収するために必要なラクターゼという酵素が少ないことがわかっています。
どんなに牛乳を飲んでも、カルシウムは分解・吸収されることなく、ほとんどがそのまま排泄されてしまっていたのです。


ものすごくぶっ飛んだ話がされていますが、これが検索上位に表示されているから恐ろしい。
牛乳には、糖質として乳糖(ラクトース)が含まれており、それを分解するのにラクターゼという酵素が必要です。
乳糖は、グルコースとガラクトースが結合してできた物質であり、カルシウムは含まれておりません

つまりラクターゼ活性が弱まることと、カルシウムが吸収できないということは別問題です。

ただし、ラクターゼの分泌が減る事で、乳糖不耐症になる可能性はあります。
牛乳を飲むとお腹がごろごろする原因について(乳糖不耐症の仕組みと対策)

たしかに、乳糖不耐症により激しい下痢等になれば、牛乳の栄養素が吸収されず排泄される可能性はあります。

とはいえ、牛乳が一番飲まれる時期の小学校、中学校ではラクターゼ活性は高い事が多いですし、
成人以降でもラクターゼ活性を維持している人はたくさんいます。

そういった例を無視して、牛乳ではカルシウムを吸収できないと言うのは言い過ぎだと思います。


■牛乳が骨に良いという説

学校で牛乳が供される事からわかるように、国や公的機関は、基本的に牛乳は骨に良いという立場をとっています。
また、栄養士学会や骨粗鬆症の予防と治療ガイドラインでも、牛乳が推奨されています。

こちらの統計的文献レビューによる研究では、
カルシウム摂取量と骨密度との関連について述べている研究は多く見られた。
牛乳飲用が骨密度を高めるという報告が多く見られた。
具体的には、牛乳を一日一本以上飲む群(382名)のBAR(超音波減衰係数)は、
ほとんど飲まない群(172名)のBARより有意に高値を示した(<0.05)との報告がある。
また、チーズ摂取が骨量を高めるなど、乳製品摂取の効果についての報告が多かった。
小児期から思春期にかけて、牛乳は1日1本以上飲むことは、骨密度を高める効果があることが示唆された
とされています。(ただし、カルシウムの必要な量などはさらに検証が必要)

こちらの研究では、
骨量の増加を導く要因を明らかにするために,骨密度への影響があると考えられる中学生の身体発育,日常活動,ライフスタイルを観察し分析をした.
骨密度測定を含む健康診断を708名の健康な中学生男女(12~15歳)にアンケート調査を実施.骨粗鬆症に関係のある危険因子として,過去の報告に基づき11項目の要因を選択,
総エネルギーと栄養素・食習慣・身体活動・超音波骨密度測定(CM-100は踵骨の超音波伝達速度を測定)調査をした.
結果は次のとおりである.
1.全生徒の骨密度は,1552.4±32.49(女子は月経周期中でない生徒の骨密度は低い.初潮からの経過年数では経時変化による減少傾向が見られた).
2.骨密度と危険因子 
1)家族に骨粗鬆症のある男子生徒は骨密度が著しく低い.
2)バランスの悪い食事をしている生徒は男女ともに骨密度が低い.
3)ダイエット中の生徒は男女ともに骨密度が低い.
4)身長の低い生徒は男女ともに骨密度は高い.
5)スポーツ・身体活動の嫌いな生徒は男女ともに骨密度は低い.(有意差は女子にだけあった.P<0.01).
6)食事よりスナック類を多くとる生徒は男女ともに骨密度は低い.
7)牛乳・乳製品の嫌いな生徒は男女ともに骨密度は低い.
8)骨折経験のある生徒は男女ともに骨密度は低い.
9)骨密度の高い生徒は身体運動が多い傾向があった

とされており、牛乳・乳製品の摂取が少ない事が、骨密度の低下につながることが示唆されています

また、牛乳の吸収率を調べた研究も英文ですがあります。
Calcium (Ca) absorption from milk, fish and vegetables in nine healthy Japanese young women was measured by the balance method by carrying out a study three times during the proliferative phase of the menstrual cycle.
Each study lasted for seven days; the subjects were given a basal diet containing 200mg Ca for three days, following by the basal diet with additional milk or fish (pond smelt, sardine) or vegetables (komatsuna-green, Jew's marrow, saltwort) containing 400mg Ca for the remaining four days.
During the study period, feces and urine were sampled daily, and blood was sampled on days 1, 4 and 8. The Ca content of the basal diet, milk, fish, vegetables, feces and urine was measured by atomic absorption spectrophotometry, and Ca balance was compared among milk, fish and vegetables. Ca balance during the basal diet period was negative, but turned positive during the last four days when the diets supplemented with milk, fish or vegetables were taken.
Apparent Ca absorption from milk was 39.8%, that from fish 32.9% and that from vegetables 19.2%. During the entire study period, no fluctuations were observed in serum Ca, parathyroid hormone or calcitonin, but the serum 1-25 (OH)2 cholecalciferol level was high during the period when the low calcium basal diet was taken.
 


牛乳で39.8%、魚で32.9%、野菜で19.2%と、他の食品に比べて決して悪いわけではないことがわかります
まあ、中にはこの40%を数値を見て、牛乳のカルシウムは半分も吸収されない!という方もいると思いますが…。




■まとめ

牛乳が骨に悪いという意見は、結構根強いようですが、私としては牛乳は良い影響を与えると考えております。
もちろん飲み過ぎれば肥満の原因になるし、血中のTG値も上がるでしょうから、たくさん飲んで良いというわけではありませんが。

ちなみに、骨量というのはカルシウムの摂取量だけでなく、遺伝やビタミンなどの微量栄養素、他のミネラル、
運動習慣
によっても変わってきます。

牛乳が良い影響を与えるといっても、牛乳だけ飲んでいれば良い骨量が維持できるかというとそういうわけでもありません。
その点にはご注意ください。

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