植物ステロールの効果と研究について

sararia

 こんにちは!前回の記事に引き続き、コレステロール関連です。

前回の記事では、コレステロールの植物バージョンともいえるもので、 植物ステロールがあるという事を書きました。

この植物ステロールには、コレステロールを下げる効果があると言われるわけですが、 どんな原理なのか、科学的根拠はあるのかという事について書いていこうと思います。

スポンサーリンク

植物ステロールはなぜコレステロール値を下げるのか

ではまず最初に、植物ステロールがなぜコレステロール値を下げるのかという話です。 この仕組みを理解するためには、コレステロールの吸収についても知っておかなければなりません。

植物ステロール

  コレステロールが吸収されるためには、ミセルというものに包まれる必要があります。 この際に、植物ステロールがあると、形が似ているために植物ステロールがミセルに入ります

すると入れなかったコレステロールは吸収できずに排泄されてしまうわけです。 また、ミセルに入った植物ステロールは、ほとんど吸収されずに排泄されます。

このように、コレステロールの吸収を抑えるため、コレステロール値を下げると言われています。


植物ステロールの含まれる食品

 植物ステロールは、動物のコレステロールの植物バージョンということもあって、 植物の油脂中に多く含まれています。すなわち、植物油や大豆製品、ごまなどです。

植物油の中では、米油に特に多く、他にはごま油やなたね油にも含まれます。


植物ステロールの研究について

 植物ステロールは、上記のメカニズムがわかっているだけではなく、いくらかの研究で効果が示唆されています。このことから、植物ステロールを含む商品で、「LDL-コレステロールを下げる働きがある」という表示をしているものがあります。 (味の素さんのピュアセレクトサラリアなど)

有効性が示唆された研究では、以下のようなものがあります。


研究1,植物ステロール配合チョコレートの境界域および軽度高コレステロール血症者における血清コレステロール低下作用 ―長期摂取時の有効性および安全性のランダム化二重盲検試験による検討―
血清コレステロール値がやや高めの成人男女(99名)を対象に、プラセボを対照としたランダム化二重盲検試験により、植物ステロール(1,200 mg/day)を配合したチョコレートを12週間連続摂取した際の血清コレステロール低下作用ならびに安全性について検討した。植物ステロール配合チョコレート摂取群は摂取開始前と比較して、摂取4、8、12週間後の総コレステロール値およびLDL-コレステロール値が有意に低下し,プラセボ群との比較においても,摂取4、8週間後で総コレステロール値およびLDL-コレステロール値の有意な低下がみられた。また、血液検査、尿検査、理学的検査および診察・問診から、試験食と因果関係があると考えられる有害な影響は認められなかった。以上より,植物ステロール配合チョコレートは、総コレステロール値とLDL-コレステロール値を有意に低下させること,および安全性に問題がないことが確認され、コレステロール値がやや高めの人に有用な食品であることが示された。

研究2,植物ステロールエステル含有ローカロリーマヨネーズのLDLコレステロール低下効果と安全性

植物ステロールエステルを含有したローカロリーマヨネーズ(PEM)のLDLコレステロール低下効果と安全性を検討することを目的として、血清コレステロール濃度が高めの健常成人を対象に無作為化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験を実施した。一日あたり884mg植物ステロールエステルを含むマヨネーズ(PEM)または対照として植物ステロールエステルを含まないマヨネーズ(CM)を12週間毎日摂取することとした。その結果、血清LDLコレステロール濃度において、PEM群はCM群に比べて、8週および12週目で有意に低値を示した(P<0.05)。なお、PEM摂取に関連する副次作用は認められなった。また、PEMの安全性は一日摂取目安量の3倍量(植物ステロールエステル含量2652mg)4週間摂取試験においても確認された。以上の結果より、PEMは血清LDLコレステロール濃度を低下し、安全な食品であることが示された。

研究3,特定保健用食品の組み合わせ摂取による有効性、安全性の検討 植物ステロールエステル添加マヨネーズと低分子化アルギン酸ナトリウム併用による有用性

軽症高コレステロール血症患者16例(男4例・女12例・平均58.9歳)を対象に、植物ステロールエステルを8%含むマヨネーズ(ピュアセレクトサラリア・味の素製)15g/日を12週間摂取させ、途中5~8週に低分子アルギン酸ナトリウム(コレスケア・大正製薬製)4g/日を併用した。その結果、体重、体脂肪、BMI、血圧、脈拍に有意な変化がなく、総コレステロール(TC)は摂取前250.6mg/dlから5週後234.6mg/dlと有意に減少し、以後低下が持続した。LDL-Cも同様に161.9mg/dlから140.2mg/dlと減少し持続した。TGは122.3mg/dlから131.1mg/dlと上昇したが、併用後120.4mg/dl、以後も100.7mg/dlと低下した。HDL-Cは65.0mg/dlから68.2mg/dl、66.9mg/dl、68.8mg/dlと推移した。血糖値は減少傾向で、併用により3.6%減少した。アディポネクチンは併用で13.1%上昇し、その後も上昇傾向を示した。肝腎機能・末梢血液所見では特に異常な変動はなかった。

研究4,油脂使用量の異なる主菜調理法と食事中の植物ステロール量の関係 テイクアウト弁当を用いた検討

実際の食事としてテイクアウト弁当を利用し、植物油使用量の異なる主菜調理法が食事中の植物ステロール含有量にどの程度影響を与えるか、また関連する成分とどの程度相関性があるか検討した。市販されているテイクアウト弁当類83試料を入手した。主菜の如何を問わず、大半のテイクアウト弁当で植物ステロールの含有量が、血漿コレステロール調節作用が確認されているレベルに達しなかった。これらの食事による植物ステロールの効果的な機能発現は困難と思われた。また、揚げ物主菜、妙め物主菜の弁当に含まれる脂質量と煮物・焼き物主菜の弁当に含まれる脂質量の差の主体は、調理に用いた植物油と思われた。しかし、その油脂増加量から期待される植物ステロールレベルの増加は予測値の1/2に留まった。

 各種食品会社を中心に盛んに研究が行われています。 上記では効果が示唆された研究を紹介しましたが、外国のランダム化比較試験にて、効果が無かったとする研究もあります。

また、どの研究でも基本的にコレステロールが高めの方を対象としているので、正常値な人に効果があるかは未知数です。

研究4は、論文を探している途中で見つけ、ちょっと面白いと思ったので紹介します。

研究4では、植物油に含まれる植物ステロールに注目した研究で、 揚げ物や炒めもので使われている植物油で、効果を発揮できるほどの植物ステロールが摂取できるかという話です。 上記の検討では、揚げ物や炒め物でも、効果を発揮するほどの植物ステロールが含まれていなかったとしています。

そういった事を考えると、植物ステロールでコレステロールを下げる効果を期待するならば、 特定保健用食品等で植物ステロールが添加されている商品や、サプリメントを利用するほうが良いのかもしれません。

関連記事
コレステロールゼロの油とは?
勘違いしやすいコレステロールの話 | コレステロールとリポたんぱく質について