ストレスと生体反応について | 管理栄養士国家試験 応用栄養学過去問解説


ストレスと生体反応についての出題は、過去数度出題されており、抑えておいて損はないポイントです。





22-105 生体のストレス応答に関する記述である。正しいものの組み合わせはどれか。
 a 慢性のストレス状態に適応しきれなくなると、副腎皮質機能の低下が起こる
 b やけど、手術などのストレス状態では、身体たんぱく質の異化が亢進する
 c ストレス性の消化性潰瘍は膵液の分泌過多によって生じる
 d ストレス刺激に抵抗している時には、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)の分泌が低下する。
(1)aとb (2)aとc (3)aとd (4)bとc (5)cとd


答え:1

>a 慢性のストレス状態に適応しきれなくなると、副腎皮質機能の低下が起こる
正文です。慢性のストレス状態とは、後記する疲はい期にあたります。
しかし抵抗期などでは、副腎皮質機能が亢進することもあります。
>b やけど、手術などのストレス状態では、身体たんぱく質の異化が亢進する
正文です。異化とはようは分解のことで、ストレス状態では身体を分解しエネルギー等を生成します。
>c ストレス性の消化性潰瘍は膵液の分泌過多によって生じる
やや悩む問題ですが、膵液→胃酸がより適切かと思います。
胃の粘膜や胃酸の分泌は、ストレスの影響を受けやすく、ストレスによる胃潰瘍があります。
>d ストレス刺激に抵抗している時には、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)の分泌が低下する。
ACTHの分泌は高まります。副腎皮質ホルモンには糖質コルチコイドや鉱質コルチコイドがあります。
bの問題とも関連しますが、これらの分泌により、血糖値の増加や血圧の上昇が起こります。



21-104 ストレスに暴露されて生じる生体反応に関する記述である。正しいのはどれか。
(1) アドレナリン分泌の低下
(2) 糖質コルチコイド分泌の低下
(3) 尿中窒素排泄量の低下
(4) エネルギー代謝の亢進
(5) 副腎皮質中のコレステロール含量の増加

答え : 4

>(1) アドレナリン分泌の低下
ストレス状態になると、エネルギー代謝等を亢進させるためアドレナリンが分泌されます。
>(2) 糖質コルチコイド分泌の低下

(1)と同様に、分泌が亢進します。
>(3) 尿中窒素排泄量の低下
(1)や(2)により筋肉の分解などが生じると、尿中窒素排泄量が増加します。
>(4) エネルギー代謝の亢進

正文です。
>(5) 副腎皮質中のコレステロール含量の増加

解説本等によると減少するらしいです。
ストレスを受けると副腎皮質ホルモンが分泌されますが、
その原料がコレステロールであるためだと思います。



26-104 ストレス応答の抵抗期に関する記述である。正しいのはどれか。
(1) 副交感神経の活動は、亢進する
(2) 尿中窒素排泄量は、減少する
(3) エネルギー必要量は、増大する
(4) 血清ビタミンC値は、上昇する
(5) 血中遊離脂肪酸値は、低下する


答え : 3

(1) 副交感神経の活動は、亢進する
副交感神経ではなく、交感神経の活動が亢進します
(2) 尿中窒素排泄量は、減少する

21-104にも出た問題です。尿中窒素排泄量は増加します。
(3) エネルギー必要量は、増大する

正文です。臨床栄養などでエネルギーを算出する際には、ストレス係数をかける事があると思います。
ストレス応答の抵抗期には、身体の回復等のためにエネルギー必要量が増大します。
(4) 血清ビタミンC値は、上昇する

代謝亢進などによりビタミンC消費量が増え、低下します。
(5) 血中遊離脂肪酸値は、低下する

代謝が亢進し、脂肪組織の分解も促進され、
その結果遊離脂肪酸がいっぱい出来るため、増加します。



28-105 ストレスの汎(全身)適応症候群に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
(1) 警告反応期のショック相では、血糖値が上昇する。
(2) 警告反応期のショック相では、血圧が低下する。
(3) 警告反応期の反ショック相では、体温が低下する。
(4) 抵抗期では、新たなストレスが加わると抵抗力は強くなる。
(5) 疲はい期では、ストレスに対して生体が適応力を獲得している。


答え : 2
(1) 警告反応期のショック相では、血糖値が上昇する。
警告反応期のショック相では、血糖値が低下します。
(2) 警告反応期のショック相では、血圧が低下する。
正文です。警告反応期のショック相では、
身体能力の様々なものが低下した状態で、血糖や血圧、体温などが低下します。
(3) 警告反応期の反ショック相では、体温が低下する。
反ショック相では、ストレスへの適応反応が開始される時期で、ショック相とは逆に、
血糖や血圧、体温などが上昇していきます。
(4) 抵抗期では、新たなストレスが加わると抵抗力は強くなる。
抵抗期は今受けているストレスとストレス耐性が拮抗している状態です。
新たなストレスが加わってしまうと、疲はい期に突入すると考えられます。
(5) 疲はい期では、ストレスに対して生体が適応力を獲得している。
疲はい期ではストレスに対する抵抗力が落ちてくる時期であり、
血糖、血圧などの身体能力が低下していきます。




基本的にはストレスを受けると、交感神経の活動が亢進し、
副腎皮質からアドレナリンやノルアドレナリンが分泌されます。
その結果、血糖や血圧が上昇します。

イメージしやすいのは、動物の戦闘態勢で、
外敵に遭遇したり、これから狩りをする時(ストレス)にどういった状態になるかを考えましょう。

・活動を活発にするために血管を収縮し血圧を上げる
・骨格筋へ大量の血液を送るために心拍数を増加させる
・酸素を大量に取り込むために気管支が広がる
・活動を活発にするために血糖値を上げる
・外敵をよく見るため瞳孔が開く
・消化器の機能は、それどころではないため抑制される

・異化代謝が亢進し、エネルギー需要は増大
・たんぱく質の分解が亢進し、窒素平衡は負に傾き尿中窒素排泄が増加する
・ビタミンB1,B2,ナイアシン等はエネルギー代謝の亢進に伴って必要量が増加する
・ビタミンCもホルモンの生成などに使用され必要量が増加、血中のビタミンC濃度は低下

このような状態になります。

ただし、ストレスを受けた後即座に上記のような状態になるかというとそうではなく、
準備段階や、また抵抗を維持できずストレスに負けてしまった段階もあります。

そういった反応は、ハンス・セリエが提唱したもので、
警告反応期(ショック相と反ショック相)、抵抗期、疲はい期に分かれます。

<警告反応期 ショック相>
ストレスに耐えるための緊急反応をしている段階。
まだホルモンの分泌なども十分でなく、自律神経が乱れ、
血圧の低下、体温の低下、血糖の低下などが見られます。

<警告反応期 反ショック相>
ストレス適応反応が開始される時期で、副腎皮質ホルモン等が分泌され、
血圧や血糖が上がり、ストレスに抵抗する力を身につけます。

<抵抗期>
ストレスへの抵抗が完了し、持続的なストレスとストレス耐性が拮抗した安定した時期になります。
この段階でストレスが取り除かれると、健康な状態に戻ります。
しかし、さらに長期間ストレスが続いたり、新たなストレスが加わることで、次の疲はい期に突入します。

<疲はい期>
長期間にわたるストレスに生体が抵抗できなくなり、ストレス耐性が衰えてくる時期です。
心拍や血圧、血糖、体温などは低下します。


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