災害時の食事についての考え方 | 災害時用に何を用意するべきか?

こんにちは!今日の更新は災害時の栄養を考えた食事についてです。

前々から書こうと思って放置していたのですが、近頃地震や大雨による被害がいろいろとあったので、そろそろまとめなければと思いました。

なお、今回の記事を書くにあたって、国立健康栄養研究所の災害ページ、新潟県災害時栄養・食生活支援活動ガイドライン、日本栄養士会の災害時の栄養・食生活支援マニュアル等を参考にしています。

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災害時の食事について考えること

災害時の食事というのは、考えるのが非常に難しいです。管理栄養士の私ですら、万全な備えというのははっきりいってよくわかりません。

まず第一に、災害の規模の想定です。記憶に新しい大規模な災害は、東日本大震災でしょう。つい最近では、平成30年7月に起きた豪雨による冠水などの被害で、復旧に時間を要しています。

考えうる最悪の状態を想定しておけばOKですが、東日本大震災では専門家を含め、ほとんどの人が予測できていなかった規模の被害をもたらしています。

今想定されている大災害は、南海トラフ巨大地震や首都圏直下型地震だと思います。片方だけの被害でも甚大ですが、片方が引き金になって同時発生とかもありえるんですかね。震源が違うので確率は低いとは言われていますが・・・。

また、食事について想定する際に、子供なのか、高齢者なのか、疾病による食事制限があるのかというのも関係しています。

今回の記事では、特定の疾患の無い方を想定して記事を書いています。

フェイズ毎の考え方

国の出しているマニュアルでは、大災害発生時はフェイズを分けて考えられています。

食事についても、フェイズ毎に必要なものを考えるのが一般的なようです。

フェイズ0~1(災害発生後24時間以内~72時間以内)

災害時のフェイズ分けは、発生初期の24時間(フェイズ0)、災害発生後3日目まで(フェイズ1)、災害発生後4日目~1ヶ月まで(フェイズ2)、災害発生後1ヶ月以降(フェイズ3)と大まかに分けられています。

これは日本栄養士会の「災害時の栄養・食生活支援マニュアル」での区分です。これ以外の分け方をしている本やガイドラインも存在します。

フェイズ0~1の期間は、思いがけない災害に混乱しつつ行動する時期です。家屋の倒壊や火災、津波等から身を守りつつ安全な避難場所に移動することとなります。

まずこの時に重要なのが、身に危険が迫る中ですぐに身支度を済ませ行動できるか?という点です。

水にしろ食料品にしろ、重いしかさばります。大規模火災や津波の恐れがある時には、悠長に準備していられません。

そこで準備しておくのは、非常持出袋です。数日間生きるのに必要最低限の物資を詰め込み、災害時に持ち出すための袋です。

非常食として、3日間程度生きるために必要なのは、正直なところ「水」だけです。エネルギーもたんぱく質も、ビタミンも、3日間ぐらいなら完全に絶たれても死ぬことはありません。

が、水だけは補給できないと死に至ります。H30年7月に、記録的な猛暑で多数の死者が出ています。災害発生時は、当然クーラーが効いた場所になんていられるはずはなく、夏場なら一日だけでも脱水や熱中症により命に危険があるかもしれません。

避難所までたどり着き避難所に備蓄していた水を貰えることもあります。が、それはあくまで想定通りの災害だった場合のみ。例えば東日本大震災では、津波に呑まれてしまう避難所もありました。また、首都圏などの人口密集地で災害が発生した場合には、避難所のキャパシティをオーバーすることも考えられます。

3日分の飲料水とまで言いませんが、最低でも1日分ぐらいの飲料水は入れておきたいところです。

一日の飲料水は、2~3Lと言われています。その時の気温や、活動量によって違います。通常は、食事に1Lぐらいの水分が含まれているので、飲料水としては1~1.5Lぐらい飲むことが多いです。しかし、災害時は食事を摂れなかったり、摂れても乾物だったりするので飲料水で2~3Lぐらい確保する必要があります

ということで、非常持出袋に、最低でも2Lペットボトル1本、もしくは500mlペットボトル4本は確保しておきたいところです。

3日分となると、水だけで6~9kgほどの重量となります。避難行動に支障が出て逃げ遅れては本末転倒ですから、自分が身軽に動ける分を入れておくと良いと思います。

スペースがあれば、軽くてそのまま食べられるような乾物(ビスケット、乾パン、カロリーメイトなど)を入れておくと良いでしょう。

猛暑日に震災が重なってしまった場合、汗からナトリウムを失うので塩分も必要になるかもしれません。

フェイズ2(災害発生後4日目~1ヶ月)

フェイズ2は、災害初期の危険な状態をひとまず乗り越えた時期です。避難所で生活をしたり、自宅に危険が無ければ在宅避難することになると思われます。

1ヶ月ぐらいの長期間になると、栄養面でもいろいろな問題が出てきますので、食事を考える必要があります。

3日から1週間も経てば、各避難所に救援物資が届き始めると思われます。1ヶ月分もの食料はなかなか備蓄できないので、救援物資の食事を頼って生活することになるでしょう。

国立健康栄養研究所の「栄養・食生活リーフレット」によると、救援物資の内容はおにぎり、パン、カップ麺などの炭水化物がほとんどだったとのことです。

肉や魚、乳製品、野菜などの生鮮食品が届かないため、たんぱく質やビタミン、ミネラルが不足します。

これらの栄養不足は、直ちに影響が出るわけではありませんが、免疫力の低下を招き、感染症にかかりやすくなる可能性があります。

医療的な処置も簡単には行えないので、なるべく健康状態を維持しておきたいところです。

たんぱく質は魚や肉の缶詰、レトルト食品などで「家に備蓄」しておくと良いでしょう。

家が火災や浸水によって入れなくなる状態も考えられますが、かといって非常持出袋に入れるべきかは考えものです。先程も書いたとおり、かさも増えるし重くなるので、迅速な避難に支障が出るかもしれません。

乾燥状態のたんぱく源ということで、プロテインを非常持出袋に忍ばせておくのは面白いかもしれません。

ビタミンやミネラルについても、携帯性に優れるということでマルチビタミンやマルチミネラルを非常用持ち出し袋に1ヶ月分ぐらいずつ入れておくと良いと思います。

救援物資のおにぎりやパンに加え、プロテイン、ビタミン剤、ミネラル剤と飲んでいたら栄養素的にはほとんど問題ないと思います。食物繊維だけは摂れませんが。非常時の携帯性にも優れています。

フェイズ3(災害発生後1ヶ月以降)

フェイズ3は、避難所の統合、縮小、閉鎖などにより避難所間の移動が必要になったり、仮設住宅や借り上げ住宅などへの移動など、これからに向けて生活環境が変わっていく時期です。被災地外へ避難していた人は、自宅へ戻ることを考えるでしょう。

これぐらいの時間が経つと、ライフラインもある程度復旧します。水道や電気は復旧が優先して行われ、1ヶ月も経てばほとんど復旧される見通しだそうです。

ガスに関しては、安全性を確保できた地域から順次復旧されますが、全て復旧されるまでには2ヶ月程度かかると想定されています。

食事については、電磁調理器を使用していれば電気が復旧された時点で加熱調理が行えます。

ガスコンロの場合はガスが使えませんが、電子レンジ調理だけでもそれなりの加熱調理が行えます。

店舗なども商品を取り扱い始め食事に関しては普段に近いような食生活が送れます。

栄養素的には、野菜不足によるビタミンやミネラル、食物繊維の不足が見られていたそうです(東日本大震災の例で)。また、それによる便秘に悩まされたという被災者も多いとのこと。

手に入れば、食物繊維が添加されている栄養機能食品の利用や、食物繊維の多いシリアルなどを食べるのも良いと思います。

結局何を用意しておくべきか

長々と書いてしまいましたが、個人的に備えておくべきだと思う食品をまとめてみました。

非常用持ち出し袋に入れておくべきものと、自宅での備蓄に分けています。

非常用持ち出し袋に入れるもの

 
最低でも一日活動する分で2Lを用意します。子供や高齢者の非常持出袋として用意する場合には、これ以上の重さになる避難に支障をきたすと思います。

体力に自信がある方は、2日分ぐらい入れても良いかもしれません。

衛生面を考えると、小分けになっている500mlペットボトルのほうが良いです。

 エネルギー源になる乾物
軽くてかさばらない、クッキーや乾パン、カロリーメイトなどの乾物を入れておくと良いでしょう。

一日分として2000kcal分…などと数値にこだわる必要はないと思います。不足していても死ぬわけではないので。

 マルチビタミン、マルチミネラル、プロテイン
災害食について語っている記事はたくさんありますが、これらを入れておけと書いた記事はこの記事ぐらいだと思います。

軽くてかさばらないわりに、1~2ヶ月分ぐらいの栄養素を確保してくれます。避難所生活が始まった時の栄養状態維持に役立ってくれるでしょう。

自宅に備蓄しておくもの

非常用持ち出し袋はあくまで迅速な避難が必要な時に持ち出すものです。

震災後自宅の安全であれば、自宅に避難したり物を取りに帰ったりするわけですから、自宅に備蓄しておくのも有効です。とはいえ、浸水や火災、建物の倒壊で全て使えなくなってしまう可能性もありますので、期待はできません。

自宅に備蓄する際には、ローリングストックの考え方が有効です。ローリングストックとは、日常的に少し多めの食料を用意しておき、定期的に消費・補充していくことです。

非常食といえば、加熱しなくても水だけで食べられるアルファ化米や、主菜類の缶詰、フリーズドライの汁物などが思い浮かぶと思います。

ただそういった商品は、日常的に食べるには味が濃かったり、いまいち美味しくなかったりします。

なので普段から利用するような食料を少し多めに備蓄しながら回していきます。

例えばレトルトのカレーやシリアル、フルーツの缶詰など。普段食べている中で、日持ちしそうでそのまま食べられるものを多めに買いだめしておくと良いでしょう。

また飲料もローリングスタックで多めに備蓄しておけます。ペットボトル飲料はほとんどの商品が数ヶ月から一年もちます。

幼児や高齢者、病気を持っている方の場合

今回の記事は、通常の食事を食べている方を対象にした記事です。

離乳食がはじまったばかりの幼児や、嚥下障害のある高齢者、病気で食事に制限がかかっている方などは今まで書いた備えで対応できない場合があります。

だいぶ長くなってしまったし状況が複数ありすぎるので詳しくは書きませんが、被災した時にどう食事を摂っていくか考えておく必要があると思います。

まとめ

  • 非常用持ち出し袋に、水、乾物、ビタミン剤等を用意しておく。
  • 自宅にはローリングストックで食料を多めに確保しておく。
  • 特殊な食事が必要な方は、被災下でどう用意するかを考えておく。

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