低炭水化物ダイエットの効果と問題点について


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 こんにちは!今日の更新は低炭水化物ダイエットについてです。 ややブームを過ぎたように思えますが、前々から書こうと思っていました。


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低炭水化物ダイエットの良さ悪さ

 低炭水化物ダイエットとは、肥満(もしくは糖尿病)の改善を目的とし 食事中の炭水化物の摂取量を減らす食事療法です。糖質制限食、糖質制限ダイエットなどとも呼ばれます。 一言に炭水化物の摂取量を減らすと言っても、減らし方は様々でありたんぱく質や脂質の摂り方も様々です。

そんなわけで、一言に低炭水化物ダイエットと言って評価しにくいのですが、 3パターンぐらいに分けて考えて見ましょう。

パターン1,炭水化物を完全に抜き、たんぱく質、脂質は自由に摂る(一日の摂取エネルギーを満たす)

 例) 2000kcal 炭水化物10%,50g  たんぱく質40%,200g 脂質50%,111g (炭水化物50gは、肉由来のグリコーゲンや、野菜由来のものを想定)

低炭水化物ダイエットの中でも特に炭水化物制限が強いものです。 低炭水化物ダイエットの本では、炭水化物を抜けばたんぱく質、脂質は自由に摂って良いと言われるものもあり、その場合こういった食事になると想定されます。 好きなだけ食べて良という文言をそのまま受け取って、 さらにたんぱく質や脂質を摂っている可能性もあります。

これは各種学会等からお勧めできないと言われる制限の仕方であり、私自身も危険性が高いものと思います。 例を見るとわかる通り、炭水化物を抜いた分のエネルギーを補うためにたんぱく質や脂質を、従来の倍以上摂取しています

脂質の摂取量の増加は、冠動脈疾患やインスリン感受性の低下が報告されています。 たんぱく質の過剰についても、健常者における腎疾患と関わりは明確ではありませんが、 厚生労働省の出している食事摂取基準にて、2.0g/kg体重/日未満に留めるのが適当であるとしています。 (たんぱく質の過剰摂取がインスリン感受性の低下や、糸球体濾過量の増加、骨吸収の増加、 血漿グルタミン濃度の低下など好ましくない代謝変化が報告されているため) このような食事を短期間ならともかく、長期間行うのはお勧めできません。


パターン2,炭水化物を完全に抜き、たんぱく質、脂質の摂取量を基準値以内にする

 例) 1100kcal 炭水化物18%,50g  たんぱく質36%,100g 脂質45%,55.5g

たんぱく質や脂質の摂り過ぎが良くないのなら、たんぱく質や脂質を摂り過ぎなければどうか。 この場合、炭水化物を減らした分のエネルギーを他で補充していないため、 摂取エネルギー量が大きく減ることとなります。

摂取エネルギー量が足りないため、急激な減量が可能かもしれませんが、 それに伴いリバウンドの可能性があり、また期的に行うのが難しいため不適切です。


パターン3,一食、もしくは二食炭水化物を抜き、たんぱく質、脂質を基準値以内にする

 例) 1620kcal 炭水化物44%,180g たんぱく質25%,100g 脂質31%,55.5g (夕食の炭水化物を抜いたものとして計算)

この例では、特に影響が大きいと言われる夕食の炭水化物を抜いた例です。 私的には、低炭水化物ダイエットをするなら一番リスクが少なく、また効果もそこそこ見込めそうといった感じです。 糖尿病学会誌の報告でも、こういった食事療法の実践報告がたまに上がっています。

※適切な摂取例 2000kcal 炭水化物55%,275g  たんぱく質20%,100g 脂質25%,55.5g

諸国の糖尿病学会の反応

 低炭水化物ダイエットと大きな関わりがあるのは、肥満や糖尿病です。 低炭水化物ダイエットについては日本だけではなく、諸外国でも注目されているものであり 学会のガイドラインなどに見解が乗せてありますので、参考に記載しておきます。

<日本糖尿病学会>
・総エネルギーを制限せずに、炭水化物のみを極端に制限して減量を図ることは勧められない。(パターン1のような例)
・合併症や脂質異常症の有無に留意し、身体活動や病態、嗜好に応じて炭水化物摂取比率の増減を考慮してもよい

<英国糖尿病学会>
・栄養素配分より、総エネルギーの適正化を重視しなければならない
・炭水化物制限には議論があり、体重ならびに高血糖改善をもたらすことが示唆されているが、この効果はエネルギー低減によると考えられる。しかし効果は短期間であって、長期的な効果の検討例はわずかである。心疾患のリスクなど、長期にわたる有害事象にはエビデンスがなく、注意が必要である。

<米国糖尿病学会>
・栄養素の最適な比率は個々人によって異なり、総エネルギーの適正化を再優先とする
・糖尿病のリスク低減には、肥満の是正が重要である。
・体重減少には、炭水化物制限、脂質制限、もしくは地中海食が、2年間までは有効かもしれない
・炭水化物制限を行った場合には、血清脂質、腎機能についてモニターする。
・栄養素の比率は、個々の患者の治療目標、嗜好に合わせて良い
・炭水化物は、1日130g以上の摂取を推奨する


 ネット上などでよく見るのが、「他の国は低炭水化物ダイエットを認めているのに、日本糖尿病学会だけが否定している!」などと言った声ですが、 どこの国も言っていることはそう変わらないように思います。

日本を含め各国も、低炭水化物ダイエットの短期間の有効性についてはありそうだというスタンスです。 ただし、長期的な効果となると研究の対象者が少ない、対象者の脱落が多い、そもそも研究毎に制限の仕方が違うなので評価が難しくまだまだよくわからない と言った感じです。

 さらに日本の食事というのは、欧米に比べ炭水化物の比率が高めです。 もし日本糖尿病学会が低炭水化物ダイエットを推奨するとすると、日本全国の糖尿病の患者さんに、 今までと全く違う食生活を強いることになります。 しかもその有効性はまだ未知数な所があります。 そのため、糖尿病学会としては安易に推奨することはできず、可能性も認めつつもまだまだお勧めできないという形になるのだと思います。


 従来通りエネルギーを制限しても、痩せることもできるし血糖コントロールもできます。 しかし、バランス良く食事を減らすのは意外と難しく、しっかりとした指示の元でないと失敗しやすいというデメリットがあります。 それに対し、糖質制限は"夕食のご飯を抜く"と一文で表現できすることでき、やることが明確です。 なので、私的にはパターン3のような例はかなり可能性があると思います。

 しかし、パターン1のような例(スーパー糖質制限食等と呼ばれる)はリスクも高く、長期的に続けることを考えると適さないと考えます。 短期的なダイエットなら1や2もアリかもしれませんが、死ぬまで続けることを考えて(特に糖尿病は)実行するか考えてほしいと思います。

今後研究が進み、選択肢の一つになればいいですね。

参考文献
厚生労働省 日本人の食事摂取基準2010年版
日本糖尿病学会 さかえ Vol53 No,7