こんにちは、今日の記事は水中油滴型と油中水滴型の違いについてです。
多くの方は聞き慣れない言葉だと思いますが、食品を思い浮かべると、意外と身近な話題です。
※検索で結構上位になっていたので、2019年12月に大幅に加筆しました。
乳化について
皆さんご存知の通り、本来水と油は混ざらない物質です。水の中に油を入れれば、分離して浮いてきてしまいますね。
しかし、この水と油が均一に混ざっている食品が存在します。
例えば牛乳や生クリーム。水分が大部分ですが、脂質もたくさん含まれています。
しかし、分離して水と油に分かれることはありません。
このように、水と油が混ざっている状態のものを、乳化液や乳濁液と呼びます。
この乳化液を作り出す作業を、乳化、もしくはエマルジョンと呼びます。
こういった作業は、一般の調理作業でも出てきます。
例えばマヨネーズを作る作業。マヨネーズは、水と油からできていますが、完成形は分離していないなめらかな状態です。
マヨネーズは水と油を混ぜて作ります。普通に混ぜただけでは分離してしまいます。そこで、水と油だけでなく、卵黄を加えます。
卵黄は主に脂質で構成されています。本来なら脂質なので水には混ざりにくいですが、卵黄の脂質は、水になじみやすい構造をしており、水に混ざります。
この卵黄が、水と油を混ぜ合わせる手助けをしてくれて、マヨネーズが出来上がります。このように、乳化液を作り出す手助けをしてくれる物質を、乳化剤と呼びます。
水中油滴型と油中水滴型の違い
さて、この乳化した物質は、大きく分けて2つのパターンがあります。
油が水の中に分散する水中油滴型(O/W型)と、水が油に分散する油中水滴型(W/O型)です。
O/WとW/Oの略語は、water(水)とOil(油)です。
さて、このように二つの型に分かれています。
それぞれ特徴がかなり違います。状態としては、読んで字のごとく、水の中に油滴が散っているのと、油の中に水滴が散っている状態です。
水中油滴型(O/W型)
水中油滴型には、以下のような食品があります。
生クリーム
マヨネーズ
牛乳
これらの食品は、水の中に油滴が散っている状態です。
なので、水が優位になっているというか、あんまり油っぽく感じないと思います。
油中水滴型(W/O型)
油中水滴型には、以下のような食品があります。
バター
マーガリン
これらの食品は、油の中に水滴が散っている状態です。
なので、油が優位です。食べた感じ、すごく油っぽいと思います。
なんだか当然の話をしているようです。しかし、この違いは非常に大きいものです。
バターの脂質は、100g中81gが脂質です。油の塊ですね。
そして、サラダ等によくかけるマヨネーズ。脂質は100g中75.3gです。
実はバターとマヨネーズは、脂質の量的にはそこまでかわりないのです。
もう10年以上前ですが、なんにでもマヨネーズをかける、マヨラーという俗語もありました。
これは、脂質の量からいえば、なんにでもバターを乗っけて食べているのとかわりません。
狂気の沙汰ですね…、しかし、食べた食感としては、あまり違和感ないのです。
なぜかというと、先ほども書いたとおり、マヨネーズは水中油滴型であり、水の中に油が散っている状態なので、あまり油っぽくないからです。
油っぽくないからなんにでもかけてしまう…、実はバター並の油の塊なのに。
ということで、ちょっとした豆知識でした。いくら油っぽくないからって、マヨネーズをいろんなものにかけて食べていると、太りますので気をつけてください。
なお、水中油滴型と油中水滴型の違いは管理栄養士国家試験でよく出題される内容です。
この問題はひねった問題が出しにくいので点数を取りやすいところです。しっかり理解して覚えておくようにしましょう。
なお、管理栄養士の国家試験の勉強をする際には、クエスチョンバンクの参考書がオススメです。イラストが多く、レイアウトも読み手に配慮され頭に入りやすいです。