びわの種に含まれるアミグダリンとは?ビタミンとの関係性

こんにちは!今日の更新は、アミグダリンという物質についてです。近頃、農林水産省からこんな告知がされました。

ビワなどの未熟な果実や種子(たね)には、天然の有害物質が含まれています。本年度、ビワの種子を粉末にした食品から、天然の有害物質が高い濃度で検出され、製品が回収される事案が複数ありました。ビワの種子が健康に良いという噂(うわさ)を信用して、有害物質を高濃度に含む食品を多量に摂取すると、健康を害する場合があります。 一方、熟した果肉は、安全に食べることができます。

知らない方も多いと思いますが、ビワの種子は健康食品として扱われている場合があります。「ビタミンの一種で健康によい」だとか、「がんに効果がある」といった内容です。

ネット上では、ビワの種子を使ったレシピが多数挙がっている他、通販サイトではビワの種子の粉末等も販売されていました。

その中に含まれているアミグダリンという成分が有害ですよという告知です。

今回の記事では、このアミグダリンについて書いていきたいと思います。

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アミグダリンとは?

 アミグダリンについて
アミグダリンとは、杏、梅、もも、アーモンド(ビター種)の種子に含まれている物質です(正確には、種子の中の仁というところ。)。

このアミグダリン自体は毒ではありませんが、体内の腸内細菌の酵素で分解されると、シアン化水素という非常に強い毒物に変化します。青酸とも呼ばれ、こちらのほうが毒物としては名が通っているかもしれません。

シアン化水素は細胞のミトコンドリア(中学の理科で習っているはずですよ!)内の酵素と結合し、細胞の呼吸を阻害します。

アミグダリンの多量摂取により、悪心、嘔吐、めまい、頭痛などが現れ、神経障害によりそのまま死亡することもあります。

 生の青梅には毒がある
先程挙げた植物はバラ科サクラ属で、果実の見た目も結構似ています。

「生の青梅には毒がある」というのは有名なので聞いたことがあるかもしれません。生の青梅に含まれる毒というのは、このアミグダリンと同一のものです。

未成熟な果実は種子を守るため毒を持ちますが、成熟とともにアミグダリンは分解されていき消失します。なので、成熟した果実は食べられます。ただし、種子には毒が残ります。

 アーモンドは?
上記の中でも、アーモンドは種子の中身を食べますよね?えー、お察しの通り、アーモンドにもアミグダリンが含まれます。

えっ、食べても大丈夫なの?という話ですが、大丈夫です。

アーモンドは食用にされるスイート種と、食用に適さないビター種に分かれており、食用にされているほうにはほとんどアミグダリンが含まれていません。

ビター種は文字通り苦味のあるアーモンドで、アミグダリンにより苦味を感じます。苦く感じるアーモンドを食べたら吐き出しておいたほうがいいかもしれませんが、輸入は禁止されているので、そうそう出会わないはずです。

どのような効果が謳われているのか?

このアミグダリンという毒物ですが、「がんに効く」などと言われています。癌細胞を死滅させるだとか。

毒だからたしかに癌も死ぬかもしれないけど・・・、まずヒトが死にますね。

このがんに効くという情報は、アメリカで唱えられた説が発祥で、研究もちゃんと行われていました。が、結局がんの治療には効果はなく、むしろ青酸中毒をおこす危険性があると米国国立がん研究所が結論を出しています。

いくつか実際にアミグダリンを摂取し、副作用を発症した症例があるので紹介しておきます。

症例1 65歳の肝臓がんの女性患者が3gのアミグダリンを摂取し、深い昏睡、低血圧、アシドーシスを呈した。初期治療の後、一旦意識回復したものの、重篤な肝障害により死亡。アミグダリンの毒性が肝細胞壊死に関与することが示唆されている。(PMID:3003927)
症例2 オーストラリアで68歳の女性がん患者が、アミグダリン3gを摂取した直後に昏睡、痙攣、重度のアシドーシスを停止緊急搬送され、気管挿管と人工呼吸器の処置を受けた。ヒドロキソコバラミン投与による解毒治療が有効であった。この患者は日常的に1日4800mgのビタミンCを摂取していた。ビタミンCは試験管内の実験にて、アミグダリンから青酸への転換を促進し、解毒作用に関与するシステインの体内貯留量を低下させる働きがあることから、ビタミンCとの相互作用によりアミグダリンが強い毒性を示した可能性が考えられる。(PMID:16014371)
症例3 アイルランドで32歳の女性が無反応、ショック状態、固定散瞳を呈し救急搬送。6時間にわたる人工呼吸と陽性変力作用薬の増量を要し、8時間後に回復。合併症として尿崩症を発現。青酸中毒に対しては種々の解毒薬がある中、本症例においては支持療法のみが有効であった。患者は乳がんで肝臓に転移、在来治療が不成功だったためインターネットで購入した「ビタミンサプリメント」という名のアミグダリン含有製品を摂取していた。(PMID:16175068)

ビタミンB17と呼ばれることも

このアミグダリン、ネット上や書籍などでビタミンB17と勝手に呼ばれている事があります。新しいビタミン!、ビタミンだから体に良い、みたいな。

そもそもビタミンとは何かというと、生態の代謝で必要で、体外から摂取しないといけない有機物の総称です。食事中から摂らなければ体に何らかの不具合が発生するということです。

アミグダリンは当然、摂らななくても何も問題もないし、というか摂ったほうが問題です。

ビタミンは現在13種類存在しています(13種類についてはこちら)。これら以外はビタミンではありません。

しかし面白いことに、ビタミンと呼ばれた物質は13種以外に30種ぐらいあります。その中にはそれなりに効果があったり、体に必須には違いないが定義からはずれているもの等、様々な物質があります。ただ、アミグダリンの場合は役に立たないどころが害になるので、これをビタミンを呼び、食べるのを推奨するのはひどい話です。

さまざまな誤った健康情報

ネット上ではこのびわの種に関する健康情報が多数出ていて、書籍にもあります。

Googleで「びわ 種」というワードで検索してみると、H29年12月6日の時点で1位にクックパッドのびわの種レシピ、2位にアミグダリンが癌に効果的という内容の記事が挙がっています。

H29年12月5日に農林水産省から告知が出たので、今後順位は変動するかもしれませんが、危険な健康法がちょっと検索すればすぐ出てきます。

また、通販サイトではびわの種子の粉末が、健康食品として売り出されています。この粉末が、高濃度で非常に危険と告知とあったわけですね。

クックパッドのレシピ紹介では、びわの種が癌に良い、ダイエットに良い、血流の流れを良くする、などとしてレシピを書いている方もいます。

もちろん悪意は無いでしょうが、健康情報というのは、これだけデタラメなもんだというのは知っておいてほしいなあと思います。

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