今回の記事は、肉類によく添加されている亜硝酸ナトリウムについてです。添加物の中でも、悪い意味で名が挙がりやすい添加物ですが、 いったいどのような目的で添加されているのでしょうか。
亜硝酸ナトリウムを添加する意味とは?
亜硝酸ナトリウムは、別名亜硝酸ソーダとも呼ばれる食品添加物。約2g摂取で致死量となる劇物です。
そんな劇物を何故食品に添加しているかというと、理由は大きく下記の3つ。
1,原材料の色素を固定し、ハム、ソーセージ特有の色調を与える。
着色料のように色をつけるのではなく、肉の中のミオグロビンやヘモグロビンといった、肉自身の持つ色素を固定し、加熱や酸化による褐変を防ぐ。
2,原料肉のもつ獣臭さを消し、ハム・ソーセージ特有の風味を与える。
発色剤の使用されていない焼豚などと比較すると、その風味の違いがよくわかります。
3,細菌の増殖を抑える働きがある。
特に恐ろしい食中毒菌であるボツリヌス菌の増殖抑制効果がある。※日本ハムより
1や2の目的のためなら、無くても良いという方もいるかと思いますが、3番目は働きとしてかなり重要です。
ボツリヌス菌というのは恐ろしいもので、芽胞という耐熱バリアを形成する上、死に繋がる強力な毒素を精製します。
ボツリヌス菌による死亡事故では、1984年、辛子蓮根を食べた36人が感染、うち11人が死亡した事件が有名です。これ以降では、食品衛生管理が向上したり、抗毒素が使われるようになり、死亡にまで至る例は出ていません。ですが、食中毒自体は定期的に発生しています。
ちなみにボツリヌスは、菌自体は芽胞のバリアを持ち耐熱性がありますが、精製する毒素はそこまで熱に強くありません。なので、食べる前にしっかりと加熱をすれば、菌の汚染を受けていても大丈夫な場合があります。
しかしハムのような肉加工品はそのまま食べるので、菌の汚染を受けるわけにはいかないのです。
この手の添加物と食中毒の問題は他にも多くあります。
例えば水道水。水道水には塩素が添加されており、その塩素が他の有機物と結合し、トリハロメタンという発がん性疑いのある物質が精製されます。
しかし、水道水に塩素は欠かせません。水は細菌が増えやすいため、塩素が添加されていないと、細菌が増殖し食中毒を発生させる可能性があります。
発色剤や保存料等の添加物は、研究の結果害が無いだろうとされる範囲内で使われています。なので、添加物の害を受けることなく、細菌の増殖抑制というメリットだけを受けることができます。
とはいえ、研究してわかる事がすべてではないし、数十年後に「実はこの添加物が人体に悪影響をもたらしていたかも・・・。」と発覚する可能性は十分あります。
そういった意味では、避けられるなら、なるべく避けたほうが良いかもしれません。