豚肉や鶏肉はなぜ生で食べてはいけないのか?

2018/11/28

食中毒関連

t f B! P L

こんにちは!今日の更新は、豚肉や鶏肉はなぜ生で食べてはいけないのか?というテーマです。

豚肉や鶏肉はしっかり火を通さないといけないというのは一般的な知識だと思いますが、その詳しい理由までは知らない人も多いと思います。

スポンサーリンク

豚肉を生で食べてはいけない理由

牛肉はレアステーキがあるのに、豚肉をレアステーキにして食べることは一般的ではないでしょう。牛肉は表面を焼けばOKなのになぜ豚肉はダメなのか。

豚肉の生食によって発生する食中毒菌は複数ありますが、特に重要なのは、E型肝炎ウイルスと有鉤条虫が存在することです。

E型肝炎ウイルスはその名の通り肝炎を発生させるウイルスですが、重篤になると劇症肝炎となり、肝機能不全となって命に関わることがあります。

有鉤嚢虫も寄生虫の中では恐ろしい分類で、腸管から血流に乗り、脳や眼球に寄生することがあり、重篤な症状を引き起こすことがあります。

どちらも、ちょっとお腹が痛くなる・・・ではすまないような食中毒です。これらのリスクがあるため、豚肉は生で食べられず、豚肉を生食用として販売することも、食品衛生法で禁じられています。

また、これらは肉の表面だけではなく肉の内部にも存在するため、内部までしっかり加熱する必要があります。

鶏肉を生で食べてはいけない理由

鶏肉の場合は、食中毒として一番頻度の多いのはカンピロバクターという細菌です。

カンピロバクターは基本的に胃腸炎となるだけで予後は良好ですが、稀にギランバレー症候群という難病(運動神経が障害され四肢に力が入らなくなる病気)に進行することがあります。

カンピロバクターは腸管内に存在し、解体途中に腸管が破れる等して肉へ移行します。

カンピロバクター以外にサルモネラ菌などの食中毒もありますが、そちらも腸管由来です。

鶏肉は豚肉ほど生食がNGとされているわけではなく、鳥の刺し身やタタキで食べる食文化(宮崎県や鹿児島県)もあります。

理論的には、鶏肉の食中毒菌は腸管由来であり、解体時に汚染されないよう管理し、また表面だけを加熱したタタキの状態で安全に食べられそうです。食べる人や提供しているお店の人もそう思っているでしょう。

しかし実際の事例を見ると、2016年の肉フェスで鶏のタタキでカンピロバクター食中毒があったり、ニュースにならないほどですが都や国の事例報告としてタタキでの食中毒が報告されています。

理論的には可能でも、実際には微生物汚染を完全に排除できないということでしょう。

なお、鹿児島県では生食用食鳥肉の衛生対策というガイドラインが制定されており、食文化の維持に努めています。

今後また、鳥の生食の食中毒で注目を浴びれば、それも消えてしまうかもしれませんが。食文化が消え去ってしまうのは悲しいですが、100%安全にもならない、難しいところですね。

牛肉は生でも良いのか?

さて、豚肉と鶏肉の生食の危険性について書いていきましたが、牛肉はどうなのか。

牛肉に関しては、鶏肉と同じように考えて良いでしょう。豚肉と違って、E型肝炎ウイルスも、有鉤嚢虫も存在せず、腸管由来の汚染がなければ肉は安全です。

腸管由来の菌が付着していても、肉の内部までは入り込まない(はず)なので表面を焼けば中は生でも問題ないという理論です。

まあ、これも理論的にはそうなだけであって、何らかの理由で中側に菌が入り込んでいたり、死滅しきらなかった菌が残る可能性があるので、腸内細菌叢の形成が不十分な子供や、抵抗力の弱い高齢者は食べるべきではないでしょう。

牛肉ユッケは?

別の話で、一時期牛肉の生食料理のユッケで死者が複数出たことでニュースになりました。

その後厚生労働省の生食牛肉の規格基準に変更が入り、ユッケを販売する店はほとんど無くなりました。ただ、規格基準が変わっただけで、実はユッケ提供が禁止されたわけではありません。

今まではユッケ提供時、肉の汚染されている表面部分を削り取るトリミングという手法が使われていました。しかしこの方法には問題がありました。例えば包丁もまな板も、一面を削ぐ毎に殺菌しなければいけません。全ての企業がそこまで徹底してできているか?というと多分できませんし、仮にできていても菌が付着してしまう可能性は無くなりません。

ということで、新しい規格基準にはトリミングの項目は無くなり、「肉塊の表面から深さ1cm以上の部分までを60℃で2分間以上加熱」という条件にかわっています。厚生労働省のQ&Aによると、250g~300gの肉塊を約10Lのお湯(85℃)で10分間の加熱でこの条件を満たせるそうです。

85℃のお湯で10分も加熱していたらそこそこ火が通りそうに思えますね。今でもこのような条件を満たせばユッケを合法的に提供できます(他にも細かい条件があります)。

ただ、手間やコスト(火が通った部分はユッケとして提供できないので割高になる)の面で、実質ユッケは死んだようなものです。

牛や豚のレバ刺しは?

牛や豚のレバ刺しについては、臓器内部に食中毒菌が存在し、排除が困難であるため禁止されています。生食用は存在しませんし、あったら違法です。

加熱用として謳って提供し、客が勝手に生で食べるという暗黙の了解的なことはあるかもしれませんが、生食っぽい盛り付けだとか、生食用のタレを付ける等も判明したらアウトだと考えられるので提供はかなり難しくなったと思います。

鶏レバーは特別に取り決めはされていないようですが、カンピロバクター汚染の可能性は排除できず、食中毒のリスクがあります。鶏レバーによる食中毒が増えたら、普通に規制されるんじゃないかなと思います。

馬レバーは牛や豚、鶏ほどリスクが高くなく、生食用で提供することが可能ですが、食中毒の可能性がゼロというわけではありません。

まとめ

長々と書いてきましたが、みなさんも知っての通り豚肉の生食は危険性が高く、生食はできません。

牛や鶏は生食をすることが実際にありますが、100%安全ではなく自己責任で、という感じです。

ちなみにこの記事は2018年11月に書いています。規制面は問題になれば強化されると思うので、この先変わっていく可能性があります。





記事をお読み頂き、ありがとうございました。

最後にちょっとした広告を。

自分で使ってみて、良かった調理器具を紹介いたします。ご家庭に合うものがあれば、ぜひお試しください。

貝印 関孫六 15000ST 高級包丁

最近新調した包丁です。久しぶりに買い替えるので良い包丁にしようと思って見つけたのがこちら。

包丁の刃にコバルトスペシャルという最高級の素材を使用しており、切れ味が落ちにくく、研ぎやすく、鋼に比べ錆びにくいという高級包丁です。

レビューも書いているので、興味がありましたらご確認下さい。

シリコン調理スプーン

山崎実業のシリコン調理スプーンは、すくう・炒める・計るの3機能がまとまった調理スプーンです。

特徴的なのは5ccと15ccの計量線が入っており、醤油や酒など計りながら調理作業が行なえます。調理作業に無駄がなくなり、一度使うと普通のヘラには戻れない快適さです。

置くためのスタンドもついており、キッチンを汚さず仮置きでき非常に便利です。

ぜひ家のヘラや調理スプーンと交換してみてください。

ゆで卵電気スチーマー

時間管理が面倒なゆで卵や半熟卵が安定して簡単に作れるようになります。ゆで卵や半熟卵をよく作る方に特にオススメしたいです。

コンロを使わないのがすごく良いです。卵以外にも蒸し野菜や肉まん等に使えます。

シリコンスチーマー

野菜や肉、魚を入れて電子レンジでチンすると、簡単に蒸し物になります。

シリコンなので洗いやすく、折りたたんで収納できるため場所も取りません。

ぶんぶんチョッパー(手動フードプロセッサー)

糸を引く事で食材をみじん切りにすることができる手動フードプロセッサーです。

電動に比べ、コンセントを必要としない点と、価格が安い点が優れています。

コンセントを必要としないので、キッチンのコンセントまわりがいっぱいでも自由に設置できます。

みじん切りの頻度が少ないけどたまにフードプロセッサーを使いたい、という場合にオススメです。

取ってが取れるフライパン

今まで我が家では普通のフライパンでしたが、取ってがとれるタイプのフライパンに変えてみたら便利さにビックリ。

重ねて入れられるため収納スペースをとりません。また、冷蔵庫に調理したものをそのまま入れて保存するのに場所をとらないので、とても良いです。

自己紹介


とっぽ
高校で調理師科を卒業し、調理師免許を取得。管理栄養士学科を卒業し、管理栄養士免許・栄養教諭一種免許を取得しました。現在は都内某所の施設に勤務しています!どうぞよろしくお願い致します。

詳細プロフィールはこちら

ブログ アーカイブ

このブログを検索

QooQ