こんにちは!今日の更新は、ビタミンCについてです。
先日記事の調べ物をしたところ、びっくりした話がありました。
今までずっとビタミンCは熱に弱いという認識でしたが、実は熱に強いらしい。ということで、記事にまとめておきます。
ビタミンCは熱に弱いという常識
ビタミンCが熱に弱いというのは結構有名な話だと思います。いくらか検索してみると、多くのホームページでビタミンCの特徴の一つに熱に弱いという点を挙げています。
このブログのビタミンCについての記事でも、熱で壊れやすいと記載しています。
有名なインターネット百科事典のwikipediaでも、ビタミンCは熱に弱いと紹介されています。
まずはビタミンCについての基礎知識
有名なビタミンCという成分ですが、ビタミンCは還元型と酸化型があります。これらは体内で変換することができ、どちらもビタミンCとしての効力を持ちます。
アスコルビン酸酸化酵素という酵素は野菜によく含まれていますが、この酵素は還元型ビタミンCを酸化型にする反応を促進させます。
また、さらに反応が進むと、ジケトグロン酸というビタミンCの効力をもたない物質になります。
ビタミンCは意外と熱に弱くない?
先日冷凍食品の栄養素の変化について調べていた時の話です。そこでビタミンCについて興味深い研究をいくつか見つけました。
まずは1つ目。
加熱時における溶液中のL-アスコルビン酸の安定性
こちらの研究では、溶液中の還元型ビタミンCの安定性について検討しています。こちらの研究で注目なのが、
1,溶液中の酸素が少なければ、Lアスコルビン酸は加熱しても安定であること
2,溶液中に酸素がある状態でLアスコルビン酸を加熱すると酸化分解すること
3,酸化分解の具合はpHや金属イオンの存在によって変化すること
このあたりが重要な点です。
ビタミンCは酸素が少なければ熱にも安定で、「ビタミンCは熱で壊れる」という話は"条件によって"、という注釈が必要なのがわかります。
次の研究です。
食品中のビタミンCの安定性に関する基礎的検討
こちらの研究は、食品中のビタミンCの安定性についての研究です。食品中のビタミンCの安定性について検討されていますが、特に定量法について詳細に書かれているのが素晴らしいですね。
こちらの研究で注目なのは、
1,アスコルビン酸溶液中の総ビタミンC量は100℃180分程の加熱でやっと減少する。
2,アスコルビン酸酸化酵素を含まない食品汁液では、100℃、210分の加熱でも30%~50%程度残存するものがある。
3,アスコルビン酸酸化酵素を含む食品汁液では、加熱の初期に急激な総ビタミンC量の減少をきたし、その後低残存のまま推移する
このあたりが注目のポイントです。この研究では、ビタミンCだけの溶液を加熱してもビタミンCは非常に長い時間高温に耐えています。一方で、アスコルビン酸酸化酵素を含む食品汁液中では、加熱後すぐに大幅な減少をきたしています。
この現象について研究中でも述べられています。加熱した際、酵素の至適温度の37℃付近で急激に反応が進み、温度が上がり酵素が機能を果たせなくなると横ばいになる、という考察をしています。
ビタミンCは熱に弱くはない。しかし・・・
上記の研究でも示されていましたが、ビタミンC自体が熱に弱いわけではないようです。
しかし、溶液中の酸素や金属イオン、pHに影響を受け、またアスコルビン酸酸化酵素の有無にも影響を受けます。
さらに、ビタミンCは水溶性のビタミンであり、茹でるような調理を行うと水中に溶け出してしまいます。
ビタミンC単体では熱に強いかもしれませんが、結果として、調理時の加熱でビタミンCは減少していると思われます。
まとめ
ビタミンCそれ自体は熱に弱いわけではなさそうです。しかし、食品中のビタミンCは酵素の影響を受けたり、水中に溶け出したりして、結果的に食べる時には加熱前より減ることになるでしょう。
まあこの話を、一般の方に広める際「ビタミンCは熱で壊れる」と言って広めても、大きく間違っているわけではないし問題にはならないかもしれません。
しかし実際には、この一文を言うだけでも簡単な話ではなく、なんやかんや色々あって結果そうなる、というのを省略して簡単に見せているだけです。
栄養の情報は、複雑な前提条件があるにも関わらず、それを省略して結果だけを都合が良いように提示する情報サイトが多くあります。「○○で痩せる!?」といった表現ですね。
突き詰めて考えてみると、一言では言えないような複雑な話が多く、それは言い過ぎでは?という表現も多いので、甘い言葉に騙されないようにしていきましょう。
wikipediaを見てもモヤっとしていた疑問部分がようやく少し解消出来ました。後は体内の消化液による影響や吸収のされ方なども興味を惹かれてしまいます。
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