薬はお茶で飲んではいけないのか?【管理栄養士の解説】

2019/10/31

栄養学

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こんにちは!今日の更新は、薬はお茶で飲んではいけないのか?というテーマです。

お酒と薬は一緒に飲んではいけない・・・というのはよく知られています。しかし、お茶はどうでしょう。

外食先では水ではなくお茶が出されるという場面もあります。店員さんに水を頼めば持ってきてくれるだろうけど・・・、忙しそうで声をかけづらいことも。

ということで、今回の記事ではお茶と薬の飲み合わせについて書いていきます。


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一般的には薬は水で飲むことがオススメされている

まず大前提として、皆さんご存知と思いますが、一般的には薬は水(もしくは白湯)で飲むことがオススメされています。

なぜ薬は水で飲まなくてはいけないか?それは、薬と食品の相互作用が複雑で、めちゃくちゃ難しいからです。

一例を紹介します。
こちらの記事は以前グレープフルーツジュースと薬の相互作用について書いた記事です。

詳しい内容は省きますが、グレープフルーツジュースたった一つとっても、「どの薬と作用するか?」「グレープフルーツジュースではなく他の柑橘類ではどうか?」「時間をあけてもダメなのか?」など細かく考えるとたいへん難しい話です。

こちらはアルコールと薬の相互作用について書いた記事です。お酒と薬を一緒に飲まないというのは知られていると思いますが、「なぜお酒と薬を一緒に飲んではいけないのか?」「すべての薬でダメなのか?」「時間が開けばいいのか?」などと考えるとかなり難しい科学です。さらにアルコールの場合とくに個人差の影響も大きいです。

ほかにも、カフェインや牛乳など、さまざまな食品・成分が薬に影響を与えます(こちらのサイトが参考になります。)

以上をまとめると、「薬と食品の相互作用はめちゃくちゃ難しく、複雑である」ということです。

だから、相互作用に詳しい専門職は水や白湯で飲むことをオススメします。
厳密にいえば飲み合わせ的にOKな組み合わせもあるでしょうが、個人差や病歴もふくめて考えなければならず、許可を出すには個別の服薬指導が必要になるでしょう。

お茶の相互作用は?

水か白湯が良い」といわれても、水がない場面もあるはず。とくに、飲食店などでは水ではなくお茶が出されると思います。この場合、お茶で飲んでも良いのでしょうか?

残念なことに、お茶も薬との相互作用で問題になる成分があります。
特に影響がある成分は、カフェインタンニンです。

カフェインは中枢神経の刺激作用がある成分です。中枢神経の刺激作用というと難しいですが、簡単にいうと、皆さん知っての通り、コーヒーの眠気覚まし効果です。飲みすぎると頭痛を引き起こすこともありますね。

薬でも中枢神経に作用する薬があり、一緒に飲むことで作用が弱まったり強まったりすることがあります。

お茶によってはこのカフェインを含みます。茶葉から抽出した飲み物は、基本的にカフェインを含みます。茶葉自体にカフェインがあるためです。ほうじ茶は紅茶や緑茶と比べるとカフェイン含有量は少ないですが、まったく含まれていないわけではありません。

こういったお茶は、相互作用が発生する薬があるのでできれば避けたほうが良いです。
一方、茶葉から抽出しないお茶(麦茶、コーン茶など)はカフェインを含みません。

タンニンは、お茶の渋味成分です。タンニンは薬のミネラルと結合し、吸収を阻害するなど一部の薬と相互作用が発生します。タンニンもカフェインと同じく、茶葉から抽出した飲み物に多く含まれます。
緑茶、烏龍茶、紅茶などですね。

カフェインだけではなくタンニンの相互作用もあり、やはりお茶より水のほうが心配なく飲むことができます

麦茶は比較的引っかかる成分が少なく、緑茶や紅茶で薬を飲むより良いと考えられます。

水がなければお茶でも

お茶より水のほうが相互作用の心配が少なく、どちらも選べる状況なら水で飲むべきです。しかし、水が手元になくお茶しかない場合は、しかたないですがお茶でも良いでしょう。

東京医科大学八王子医療センターのページに、薬の服用の仕方についてこのような記載があります。

お茶や麦茶、烏龍茶でもよいですかとの質問が多く聞かれますが、現在ほとんどの薬はお茶や麦茶、烏龍茶でも大丈夫なものが多いです。ジュース類や缶コーヒーなどは原則として避けて下さい。しかしながら新生児及び乳幼児の場合にはジュース類を用いることがあります。

“ほとんどの薬””大丈夫なものが多い”という記載のとおり、厳密にいえば相互作用が考えられる組み合わせはありますが、そこまで大きな影響ではないということですね。


また、このようにも書かれています。

カプセルなどは、飲む際に水の量が少ないと食道に引っかかり違和感を感じたり、時には食道に炎症を起こしたりする

水がないからといって、無理に唾液や少ない水分で飲むとそのほうが危ないということです。
こうなるよりは、お茶で飲んだほうが安全ですね。

結論

厳密にいえばお茶も薬と相互作用が発生する場合があります。なので基本的には水や白湯で飲むのが最善です。

しかし、水がなければ仕方ありません。他のへんな飲み物(お酒やジュース)で飲むよりはお茶のほうが良いので、お茶で飲みましょう。

自己紹介


とっぽ
高校で調理師科を卒業し、調理師免許を取得。管理栄養士学科を卒業し、管理栄養士免許・栄養教諭一種免許を取得しました。現在は都内某所の施設に勤務しています!どうぞよろしくお願い致します。

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