納豆を食べることで死亡率10%減は本当?【管理栄養士の解説】

2020/01/31

栄養学ニュース

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納豆 画像

こんにちは!今日の更新は「納豆を食べることで死亡率10%減というのは本当?」というテーマです。

先日twitterで"#死亡率10%減"という言葉がトレンドになっていました。

なんなのかと思い調べてみると、どうやら納豆で死亡率が10%減少するだとか。

ということで元ネタがなんなのか、それは本当なのかを調べてみました。

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元ネタはどこから?

調べてみると、朝日新聞で、「納豆1日1パック、死亡率10%減」というタイトルで記事が出たみたいです。

納豆1日1パック 死亡率10%減 記事

そしてさらに元ネタをたどっていくと、国立がん研究センターの研究らしい。ということで読んでみました。

内容はネット上から無料でアクセスできるので、みなさんも興味があったら原文をお読みください。

日本語のまとめられた文章がこちら

英語ですが論文バージョンがこちら

しかし内容は結構難しい。日本語のほうでも、統計や栄養学の知識が無いと読み解けない感じです。ということで解説していきたいと思います。

研究の誤解されやすい点

まずはじめに、研究の誤解されやすい点について。

twitter等の反応を見ていると、このような疑問を抱く方が多いようです。

納豆を食べれば肉を食べる量が減るし、健康に良いのも当然では?」「肉が減ればカロリーも減るし、納豆の効果じゃなくてカロリー摂取が減った効果では?」「納豆を習慣的に食べる人は健康に気を使う人だから、他の健康習慣でリスクが下がったのでは?

他にも色々ありますが、ようするにそれって納豆の効果じゃないんじゃないの?という疑問です。

これらは、統計学上、交絡因子と呼ぶものです。統計学では、交絡因子が調べたい内容に影響しないように、わかる限り調整します。

今回の研究では、以下の交絡因子について、統計学的に調整しています。

分析にあたって、年齢、地域、肥満度、喫煙、飲酒、身体活動、糖尿病(または服薬)の有無、降圧薬服薬の有無、健診受診の有無、月経状況(女性のみ)、ホルモン剤の使用(女性のみ)、コーヒー、緑茶、魚類、肉類、果物類、野菜類、総エネルギー摂取量で統計学的に調整し、これらの影響をできるだけ取り除きました。

つまり、「納豆を食べてるならかわりに肉を食べていないんじゃないか」「納豆を食べているなら健康に気を使ってタバコを吸っていないんじゃないか」などの交絡因子は、取り除かれています。

一方で、予期しない交絡因子というのは研究につきものです。もちろん研究された方々もそれはわかっていて、このような注釈があります。

発酵大豆製品の相関は、未調整の残留交絡因子によって弱められる可能性があるため、我々の調査結果は慎重に解釈されるべきです。

今回の研究のまとめ

次に、今回の研究の内容をまとめていきます。

今回の国立がん研究センターの研究では、納豆を一日に約1パック(50g)以上食べる群で、総死亡のリスクが10%減少することが示されました。

納豆 死亡リスク減少 画像

また、本研究では、がん死亡との関連は認められず、循環器疾患死亡のリスク低下の傾向が認められました

納豆を食べるとがんのリスクも下がりそうなイメージはありますが、そういうわけではないようですね。

ということで、納豆を食べている方の死亡リスクが下がるというのはこの研究で示されたことは事実です。しかし、この研究で面白いところはそこではないのです。

面白いところはどこかというと、上の表でも示されていますが、「総大豆食品摂取量」では死亡との明らかな関連がなかったのに対し、「発酵性大豆食品摂取量」では死亡リスク低減の関連が見られたということ。

総大豆食品とは、大豆製品全般なのに対し、発酵性大豆食品とは、納豆や味噌などの発酵した大豆製品を指します。

つまり具体的にいうと、豆腐では死亡リスクが下がらなかったのに、納豆では死亡リスクが下がった、ということ。

豆腐では下がらないのに、納豆で死亡リスクが下がる理由について、ミネラルやイソフラボンなどの成分が、発酵性大豆食品の場合残りやすいのが理由ではないか、と述べています。

ここが、この研究の面白いところというか、新しくわかったことです。

納豆1日1パック、死亡率10%減」というタイトルの記事が出てくるのは、ちょっと解釈がずれているかもしれませんね。

本当に納豆で死亡率が10%下がるのか?

本当に納豆で死亡率が下がるのか?というと、おそらく事実です。

というか、交絡因子を調整して10%下がるなら、おそらく実際に納豆を食べている人は10%以上に下がっているはずです。

先程述べたように、納豆を食べればかわりに肉を食べる量が減ったり、一日の総カロリーが減ったりするわけです。

でも、この研究はそういった影響を取り除き、取り除いた上で10%減少したわけです。

実際の食事では、納豆を食べれば肉を食べる量は減るでしょうし、一日の総カロリーも減ると考えられます。実際にはそういった影響も含むので10%よりも大きくリスクが下がると考えられます。

そもそも納豆に限りませんが、動物性たんぱくより、植物性たんぱくのほうが健康に良さそうだ、というのは様々な研究から示唆されていました

例えば国立がん研究センターの以前の別の研究では、植物性たんぱく質の摂取割合が多いほど、死亡リスクが低いことが示されていました。

また、栄養素レベルで考えても、牛肉や豚肉に含まれる飽和脂肪酸は動脈硬化を促進させる効果があります。

一方で納豆に含まれる栄養素は、食物繊維やビタミン、ミネラルなどを肉よりも多く含み、脂質も不飽和脂肪酸を含んだ質の良い脂質です。

そういった今までの研究・知見からみても矛盾した結果ではなく、納豆を食べることは健康に良い効果をもたらしそうだと言えます。

まとめ

今回の研究で、納豆を多く食べている人の死亡率が下がることが示されていました。

もともと納豆はさまざまな研究で健康効果がありそうだと言われていたので、矛盾しない結果です。

近年は食の欧米化が進み、納豆を食べる機会も減っているかもしれません。

しかし、納豆や、それに合わせる和食は健康に良い食品が多いです。

健康のためにも、納豆を取り入れたような和食習慣を送ってみるのもいいと思います。

自己紹介


とっぽ
高校で調理師科を卒業し、調理師免許を取得。管理栄養士学科を卒業し、管理栄養士免許・栄養教諭一種免許を取得しました。現在は都内某所の施設に勤務しています!どうぞよろしくお願い致します。

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