管理栄養士の給料が低い理由は?【現役管理栄養士の考察】

2022/05/07

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給料が低いことに悩む管理栄養士のイメージ画像

こんにちは!当記事では、現役の管理栄養士が管理栄養士の給料が低い理由を考えて書き出してみました。

筆者は管理栄養士学科の専門学校を卒業し、管理栄養士として約10年働いています。

その間、何度か転職も行っていますが、日本の平均年収を稼ぐのもなかなか難しいです。

専門職種にも関わらず、なぜ管理栄養士の給料は低いのでしょうか。

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管理栄養士の給料はどれぐらい?

管理栄養士の給料がなぜ低いのかを考える前に、給料の確認をしておきましょう。

管理栄養士給与比較

日本の20歳台の平均年収を転職サイトdodaより、掲載されている求人の平均年収を求人ボックス.comより、栄養士の平均年収を厚生労働省の賃金構造基本統計調査より引用し作図した表です。

残念ながら、掲載求人でも厚生労働省の統計でも、男女いずれも日本の平均年収以下です。

また、残念なことに医療系資格の中でも低いのです。

管理栄養士 女性平均月収画像

こちらの表は、厚生労働省の賃金構造基本統計調査より女性の年齢別の月収を抜き出したものです。

賃金構造基本統計調査では、管理栄養士だけの調査はなく、栄養士、栄養指導員、学校栄養職員、ダイエットコーディネイターを含んでの調査となっています。

管理栄養士に絞ればもう少し収入が高くなるかもしれませんが、掲載求人などと比較するとおおよそこんな数値かと思われます。

ご覧の通り、医療系資格の中でも低い結果となっています。

国家試験の受験資格を得て、苦労して勉強して取った資格なのに…、報われませんね。

給料はどのように決まるのか

なぜ管理栄養士の給料は低いのでしょうか。理由を考えてみます。

そもそも給料とは、どのように決まるのでしょう。

基本的には、会社で人事権を持つ役職の方が管理栄養士を募集しようと判断し、払う給与も大まかに決めて募集を掲載します。

支払う給与は、会社の給与規定に従って決めたり、会社の経営陣の判断で決められたりします。いずれにせよ、会社の中で給与を決定する権限を持つ偉い人たちが決めるということです。

経営陣は、人件費が会社の経営を圧迫することを知っているので、会社が求める人材を可能な限り安く調達しようと考えます

管理職候補などで、平均より優れた人材を欲するなら、高めの給与設定にすることもあるかもしれません。

しかし「平均ぐらいの人が来ればいいよね」というぐらいの感覚なら、人が来そうなラインの最低付近から募集を出します

どれぐらいの賃金で管理栄養士が来てくれそうかは、他会社の募集などを見て決めるでしょう。少なめの賃金から募集をかけてみて、応募がなかったり、来る人材の質が悪いと感じたら、値上げして再掲載することもあるでしょう。

少なめの賃金で応募があり、会社の求めていた人材とマッチしていたら、万々歳です。

管理栄養士の給料が低い理由

上記の話を踏まえてなぜ管理栄養士の給料が低いか考えてみましょう。

以下の二つが大きな理由です。

雇用の需要と供給バランスが悪い

一番の理由は、雇用の需要と供給バランスが悪いと言う点です。

商品市場と同じように、雇用や賃金についても市場原理が働いています。賃金の決定には、雇用の需要と供給バランスが大きく関与しています。

働く人が少ない(供給が少ない)、かつ管理栄養士の必要数が多い(需要が多い)ほど賃金は上がります。

これは商品と同じです。例えば新型コロナの初期にマスクの価格が高騰したのは、記憶に新しいと思います。

コロナによる工場の稼働停止や転売屋の買い占めなどによる供給減少、そして世界中でマスクが必要となった需要増加によって価格の急上昇をもたらしました。

管理栄養士の賃金にも同じことが言え、管理栄養士の資格持ちの減少(試験の難化)社会制度改定などによる需要増があれば賃金は自然と上がっていくと考えられます。

現状では、管理栄養士は毎年1万人程度資格を取得しており、管理栄養士の人数は増加し続けています

一方、管理栄養士の必要数はそう多くありません。特に事務系の仕事は数人いれば十分なことも多いです。

条件の良い事務系の仕事は、なかなか退職者が出ず、募集がそもそも出回りにくいです。

管理栄養士の求人でも、厨房業務の現場仕事などは年中募集がありますが、辛い職場が多いので事務系に応募が集まりがちです。

自分も管理栄養士の募集を会社にお願いした時、厨房業務を含めた管理栄養士は全く応募が無いのに、事務作業の管理栄養士は複数の応募が即座に来るような状況でした。

特に賃金を高く提示しなくても人を選べるぐらい応募があるので、当然あえて高くすることはしませんでした

このように需要と供給のバランスが悪いため給料が低いのだと考えられます。

福祉法人は高給にできない

もう一つある側面として、福祉法人は国からお金を出してもらって運営している都合上、職員を高給にできないということがあります。

そして管理栄養士の働き先には高齢者施設や病院、児童福祉施設など福祉法人が多いため、給料が上がりづらいのだと思います。

管理栄養士の求人でも、民間企業の募集では年収600万など日本平均を上回る求人が出ていることがあります。

民間企業では、社員の質が顧客のリピート率など会社の収益に大きく作用されるため、高い給料を払って管理栄養士の中でも優れた人材を採用しようとするのでしょう。

管理栄養士の給料を上げていくためには?

給料が低い一番大きな理由は、雇用の需要と供給バランスの乱れだと思います。このバランスを反対にすることで、給料は自然と上がっていくと考えられます。

需要と供給のバランスを変えるというのは、以下のようなことです。

管理栄養士を減らす(供給を減らす)

まず一に、管理栄養士を減らす=供給を減らすという方法が考えられます。

管理栄養士を減らすというのは、例えば免許に更新制度を設けて、試験などに合格しないと失効するようにする等が考えられます。

また、管理栄養士国家試験の難易度を上げ、新しく管理栄養士を取る人を減らすという方法も考えられます。

ほかにも、管理栄養士を細分化し、専門管理栄養士を作るという方法もあります。これに関しては、栄養士会等で進めており、専門の認定制度があります。

ただし専門管理栄養士で給料アップを目指すためには、専門管理栄養士に高い給料を出してくれる会社が必要となります。

会社の経営陣が専門管理栄養士を知らないことも考えられるため、専門管理栄養士を高い給料で雇ってくれる会社を見つけるのは、なかなか大変そうです。

管理栄養士の需要を増やす

次に、管理栄養士の需要を増やすということが考えられます。求人が多すぎる状況になれば、管理栄養士の奪い合いとなり高い給料で確保しようという会社が出てくるはずです。

需要はどうしたら増えるのかというと、制度の変更などで管理栄養士の配置が変わるのが一番わかりやすいです。

例えば介護老人保健施設の例で行くと、令和3年の介護報酬改定にて、栄養に関連する加算を算定するためには、決められた管理栄養士の配置人数を満たさないといけなくなりました

これにより、配置人数に満たない事業所は、加算算定をしたければ管理栄養士を採用しなくてはいけなくなりました。このように、制度変更で需要が増える可能性があります。

国に配置人数を増やすように制度変更してもらうには、管理栄養士を配置することで、健康増進に寄与し、そこから社会保険料が減少する見込みがあるという結果を出さなければいけません

今後管理栄養士の需要が増えるかは、現役で働いている管理栄養士たちの働きぶりにかかっているでしょう。

個人で給料を上げていくためには?

そうは言っても、雇用の需要・供給バランスを整えるのは個人でできるような事じゃないんですけど…。」と思われるかもしれません。全くその通りなので、個人で給料を上げていくにはどうすれば良いか考えてみます。

転職する

管理栄養士に限ったことではないですが、資格持ちの優位性として転職が非常に行いやすいということがあります。これを生かさない手はありません。

同業者をみても転職を経験しているような人ばかりです。一般企業のように、転職を繰り返しているからと言ってすぐ辞める人材かも、とはあまり見られません

どちらかというと、未経験を嫌う傾向にあると思います。事務系の仕事は、経験者を募集している事が多いです。

転職時は、仕事を辞めた状態で転職活動をすると、収入の問題でゆっくり探せません。なので働きながら良い条件の職場を時間をかけて探すようにすると良いでしょう。

筆者も複数回転職していますが、全て在職中に転職活動をしており、次が決まってから退職の意志を伝えるようにしています。

副業をする

会社によっては副業が禁止されていることもありますが、許可されていれば副業をするというのも一つの方法です。

管理栄養士は食に関連する仕事に幅広く対応できるので、副業の幅も広いです。ライター、レシピ執筆、栄養指導、献立作成などの仕事があります。

Webライターやレシピ執筆は時間帯に縛られないので副業にもあっていると思います。栄養指導は、利用者と栄養指導の時間帯を合わせないといけないので、副業にはあまり向いていないかもしれません。コメントだけつけるような副業もあるので、対応時間不問のものなら副業に良いと思います。

筆者は フリーランスサイトのランサーズ を利用し副業を行ったことがあります。ジャンルはライターやレシピ執筆など。

実績を積み重ねれば時給1500円〜2000円ぐらいで稼げると思います。

ただ、やっていて思ったのは労働には変わりないということ。仕事の空き時間に追加でやる仕事なので、ゆったり私生活を送りたい方には副業は不向きかもしれません。

筆者は休日を潰して仕事にするのが嫌だったのと、自身の運営ブログを育てていきたいという思いがあり途中でやめてしまいました。

しかし情報発信は楽しいものですし、副業先は基本的に民間企業のメディア系なので、大幅なスキルアップにもなりました

クラウドソーシング「ランサーズ」

請負先にもよりますが、文章の校正をしてくれるところもあります。ライター系の副業だと文章を書く力が大幅に上がります。ライターに興味がありましたら、副業としてはじめるのも良いでしょう。

記事の書き方は本から学べるので、ある程度は独学で勉強しておくと良いと思います。

筆者もブログやライター業のためにいくつか本を買って参考にしているので、良かった本を紹介しておきます。

まとめ

管理栄養士の給料が低い理由は、管理栄養士の需要と供給のバランスが合っていないからだと思います。

個人で管理栄養士の給料を上げたい場合は、自身のスキルを高めて転職時に給与交渉しながら売り込むか、副業等で労務時間を増やして稼ぐかしかないと思います。

こちらの記事で取り上げていますが、投資で増やすというのも手ですが、勉強や投資の研究時間が取られます。

筆者の場合は、転職、副業、投資、どれも実践しています。

自己紹介


とっぽ
高校で調理師科を卒業し、調理師免許を取得。管理栄養士学科を卒業し、管理栄養士免許・栄養教諭一種免許を取得しました。現在は都内某所の施設に勤務しています!どうぞよろしくお願い致します。

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