高齢者にダイエットは必要なのか?【管理栄養士の解説】

こんにちは!今日の更新は、高齢者にダイエットは必要なのか?というテーマです。

先日こんな話がありました。「うちのおばあちゃんがダイエットしようとしているんだけどどうなの?」と。

老健務めということもあり、高齢者の栄養管理には詳しいつもりです。

ということで、高齢者のダイエットの必要性について書いていきたいと思います。

なお、高齢者とは65歳以上の方を指しています。それより若い年代の方のダイエットについては今回の記事では取り扱っていません。

また、今回の記事を執筆するにあたり、日本人の食事摂取基準高齢者肥満症診療ガイドライン2018年版を参考にしています。

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なぜダイエットするのか

ダイエットをする目的は様々です。

若い人ならスタイルを良くしたい、見た目をよくしたいというのが大きい目的の一つでしょう。

歳を重ねてもそういう意識はもちろんあるでしょう。しかしそれだけでなく、健康管理のためにダイエットをするという方も多くなります。

では、高齢者のダイエットは健康上良いのでしょうか?

高齢者の病態はたいへんむずかしく、今までの体重の推移、今の体の状態、疾病の有無など、さまざまな要因がかかわっています。

なので、”高齢者は、こうしたほうがいい”とひとくくりにすることはできません。ダイエットが必要かどうかは、人による、としか言いようがありません。

ということで、ダイエットが必要な人、必要じゃない人、それぞれどんな人なのかを書いていきます。

ダイエットが必要な高齢者とは?

ダイエットが必要な高齢者とはどんな人でしょうか。

必要かなと考えられる方を挙げてみましょう。

肥満症の方

ダイエットが必要な高齢者とは、まず1に、肥満症の方です。

肥満でダイエットが必要?なにを当たり前のことを」と思われるかもしれません。しかし、「肥満症の方」であって、「肥満の方」ではありません。

細かい語句の違いですが、「肥満症」と「肥満」で意味に大きな違いがあります。

肥満とは

肥満とは、脂肪組織が過剰に蓄積した状態で、BMI25以上のものをいいます。

BMIとは、身長と体重から計算する数値です。

体重(kg)/身長(m)2」という式で計算されます。

BMI25以上はわかりやすくいうと「太っている状態」である、ということです。

肥満症とは

一方で肥満症とは、肥満によって健康を害する可能性がある状態をいいます。

肥満によって健康を害するというのは、たとえばこんな例です。

糖尿病、高血圧、痛風、脂肪肝など、肥満と関連する病気をもっている状態、もしくは内臓脂肪が蓄積していて、それらのリスクが高い状態です。

つまり、「太っている」だけではなく、「太っていて、それによる病気がある(もしくはリスクが高い)」こういった状態を肥満症といいます。

肥満症であればダイエットの必要がある場合もあります



あいまいな表現でもうしわけないのですが、肥満症であってもダイエットを勧められないことがあります。

肥満由来の病気をもっていてもコントロールできていたり、肥満症だけど低栄養の場合だったりというような例です。

高齢者のダイエットというのは、活発に運動してダイエットというわけにも行きづらいです。

食事制限でダイエットをすることが多くなりますが、そうすると、脂肪が落ちずに筋肉が落ちていくという事が多発します。

そうするとあまり健康的な痩せ方にならず、かといって運動ができる人ばかりでもなく、現状維持という選択に落ち着くこともよくあります。

肥満によって生活の質が落ちている場合

病気とは関係なくても、肥満によって生活の質が落ちている場合も、ダイエットが必要な場合があります。

生活の質が落ちているというのは、例えばこういった例です。

体重が負担で膝の痛みが強い
体重が負担で体を動かせない
(歩行、起立、階段上りなど)

自分で思うように動けないというのは、生活を送る上でかなりのストレスです。

肥満によってこういった障害が出ているのなら、ダイエットというのも一つの方法になります。

しかし、体を動かせないということは、ダイエットを食事制限に頼ることになります。

すると脂肪より筋肉が落ちやすくなります。それでは生活の質も向上せず、さらには健康的にも悪くなります。

ダイエットをする場合は、ベッド上でもできるトレーニング等を併用し、筋肉量が落ちないように注意する必要があるでしょう。

体重が極端に増えていっている方

ほかにも、体重が極端に増えていっている方も、ダイエットが必要かもしれません。

どれぐらい体重が増えたら、というのは難しいのですが、一ヶ月に10%増えたり、5%ぐらいの増加でも、数ヶ月継続しているような場合です。

体重が増えていくということは、カロリーの消費より供給が上回っている状態です。

高齢者は運動量が低下しがちで、筋肉量より脂肪量が増えやすくなります。

意図せず体重が増加していくと、上記の健康障害や、動きの制限などの問題が発生しやすくなります。

痩せすぎだから増やしたいという場合も、一気に体重を増やすと筋肉量の増加が間に合わず、歩行などの活動に障害が出ることがあります。

運動を併用しつつ、徐々に増やしていくように調整する必要があります。

また、むくみ等疾病由来の体重増加もあり、そういった場合はダイエットでなく疾病の治療を優先します。

ダイエットが必要ない高齢者とは?

ダイエットが必要ない高齢者とは、上記に該当しないすべての方です。

高齢者は肥満よりも、痩せのほうが命に関わる問題になりやすいのです。

医学的には、こういった問題をフレイル(虚弱)、サルコペニア(加齢による筋肉量の低下)等と呼んでいます。

食事を食べられなくなって、体力もどんどん落ちていき、肺炎などをきっかけに亡くなる…、というのがよく見られる例です。

体重の低下はこういった問題を招きやすく、高齢者には簡単にはダイエットは勧められません

また、高齢者にダイエットが勧められない根拠として、適切なダイエットがしづらいというのもあります。

何回か書いているとおり、ダイエットは運動を併用しないと、脂肪だけでなく筋肉量を落としてしまいます

筋肉ばかり落ちて脂肪が残っている状態は、予後も悪くダイエットとしては成功とはいえません。

しかし、高齢者は骨粗鬆症や骨折などの問題があり、負荷のある運動が実施できないことが多々あります。

まとめると、高齢者のダイエットは下手に行うとむしろ健康を害する場合があり、安易に行わないほうが良いと考えられます。

ダイエットをするにしても、担当医や自分の状態を見てくれている専門職に相談しながら行うのがよいでしょう。

介護者の都合によるダイエット

また、高齢者と関わっていると、こういう話も非常によく聞きます。

重くて介護が大変だから痩せさせたい」という話です。

本人の健康を度外視し、介護者側の都合で痩せさせるというのは倫理的にどうなんだろうなあとよく思います。

先ほども書いたとおり、高齢者のダイエットは筋肉量の低下による衰弱などの問題が発生しやすいです。安易には勧められません。

重くて介護が大変だというのもよくわかるのですが、やはり本人の健康状態を優先させるべきだと思います。

しかし、”床ずれになっちゃうから”、”なんとなく健康に悪そうだから”となにかと理由をつけて痩せさせられている例も見かけます。

日本では高齢化が進んでおり、高齢者が高齢者を介護する、老老介護という事例もあります。

高齢者が体重の重い高齢者の介護をし、動かせないばかりか、重さに引っ張られて揃って転倒して大惨事ということもあります。

倫理的には本人の健康が一番だろうとは思いますが、介護者側の都合もまったく無視できるわけでないという、難しい問題だと感じます。

結論

高齢者でダイエットが必要と考えられる方は、以下のような方です。
肥満症の方
肥満により生活の質が落ちているような方
極端に体重が増えていっている方

一方で、高齢者のダイエットというのは健康障害をまねきやすく、安易に勧められるものではありません。

よって、上記に該当しない方は無理にダイエットを行う必要はないでしょう。

また、必要があってダイエットする場合でも、専門職に相談しながら行うことをオススメします。

今回の記事では、高齢者のダイエットについての話を書きました。

高齢者のダイエットは安易にオススメできません。

一方で若年層、中年層は痩せて死ぬということはあまりなく、肥満による将来の健康リスクも高いため、ダイエットを考慮したほうが良いでしょう。

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