卵の老化防止・美容・免疫力向上効果は本当にあるの?【管理栄養士の解説】

2019/12/05

栄養学

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こんにちは!今日の更新は卵の健康効果について。

今回の記事では、肉や魚、大豆製品と栄養価を比較しつつ、ネット上でよく言われる、老化防止や美容効果等の卵の健康効果についても言及していきます。

【目次】
 1 卵の栄養成分
  1.1 エネルギー・タンパク質・脂質
  1.2 各種ミネラル
  1.3 各種ビタミン
  1.4 コレステロール量
  1.5 卵は完全栄養食品?
 2 卵の栄養について、一般的な評価は?
  2.1 レシチンが含まれるため、卵は血中コレステロールや中性脂肪を低下させる
  2.2 レシチンにはコリンが含まれており、脳の老化防止効果が期待
  2.3 必須アミノ酸をバランス良く含むため、疲労回復や美容に良い
  2.4 リゾチームの殺菌効果で免疫を高める
 3 まとめ


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卵の栄養成分

卵は時に、完全栄養食品などと言われる事があります。

確かに栄養価の高い食品ですが、実際のところはどうでしょう。

卵の栄養成分 肉や魚との比較画像

こちらの表は、文部科学省の出している食品成分データベースより、 鶏卵と肉や魚、大豆製品など主要なたんぱく食品を比較した表です。

全て100gあたりの数値で統一しています。

上記を参考に比較してみましょう。

エネルギー・タンパク質・脂質

肉類や、脂質の多い鯖のような魚に比べると、脂質が低くエネルギーも低くなっています

脂肪酸組成はn-6系脂肪酸の割合が高めです。(n-3系は、EPAやDHA等の脂肪酸)

たんぱく質はどの食品もアミノ酸スコア100の良質たんぱく質ですが、たんぱく質の量自体は肉類に比べると低めです。

これらは数値上で比較しても、評価しがたいですね。

たんぱく質も脂質も、多いから良い、低いから悪いというものでもありません。

各種ミネラル

卵は肉類に比べカルシウムが高めで、鉄や亜鉛等のミネラルも含まれています。

特別多いと言うほどでもないですが、たしかに、バランス良く含まれていると言えるでしょう。

各種ビタミン

卵に特徴的なのは、ビタミンA(レチノール当量)が多いことです。

他のビタミン類は、ビタミンB2や葉酸、パントテン酸が多く、ビタミンB1やビタミンCは少なめです。

コレステロール量

卵はコレステロールが高いと言われますが、比較してみると確かに高い数字です。

じゃあ体に悪いのか?という話ですが、コレステロールは体内で合成される量のほうが多いです。

よって、コレステロールが高い食品だからといって、コレステロール値が上がるというわけではありません。

とはいえ、脂質異常症のガイドラインでは卵(卵黄)は控えるべき食品に分類されています。

コレステロール値が高い方は控えたほうが良いでしょう。

卵は完全栄養食品?

卵単体の栄養価をみると、ビタミンCや食物繊維はほとんど含まれておりません。

n-3系脂肪酸も豊富なわけではなく、ビタミンB1やナイアシンも多くありません。

カルシウムも主要たんぱく源の中では多く含まれていますが、推奨量を満たすには一日10個食べても足りません。

肉に比べればミネラルやビタミンのバランスが良く、栄養価の高い食品なのは事実です。

しかし、卵だけを食べていれば必要な栄養素が摂れるのかというと全くそんなことはなく、完全という表現は言い過ぎでしょう。

卵は完全栄養食品だから、卵さえ食べていれば栄養補給はバッチリ」という意見もありますが、全くの誤りです。

他の食品も取り入れないと、普通に摂取栄養量のバランスは崩れます。

これは卵が悪いという話ではありません。むしろ卵はたんぱく源の中では様々な栄養素が含まれています。

それを誇張し、「それだけで大丈夫」といった表現行き過ぎといえるでしょう。

卵の栄養について、一般的な評価は?

次に、google検索で、「卵 栄養」と検索し、卵の栄養について検索してみました。

すると上記のような、完全栄養食品という表現が出てきます。

他には、老化防止や美容効果などの健康効果を謳っているサイトがいくつかあります。そういった表現について、一つ一つ考えていきましょう。

レシチンが含まれるため、卵は血中コレステロールや中性脂肪を低下させる

レシチンの健康効果に対する研究は、国立健康栄養研究所で結果がまとめられ記載されています。

レシチンの血中コレステロールの報告は、健康な人を対象としたもので、レシチン20~30g/日の量でコレステロールが低下したという報告があります。脂質異常症患者では影響はありませんでした。

20g~30gというのは、サプリメントのような高濃度の量です。卵に含まれるレシチンの量は、卵2個で3g~4gほどです。

研究結果に合わせ、コレステロールの低下効果を期待するなら、毎日最低でも5個以上の卵を食べなければなりません。

また、卵はコレステロールの高い食品です。そこまでの量を食べ続けるとなると、食事由来のコレステロールで上がるのか、レシチンの効果で下がるのかは難しいところです。

レシチン=コレステロール低下の報告がある」という事実から、「レシチンを含む卵もコレステロール低下の効果がある(はずだ)」と連想ゲームのように展開させてしまっています。

こういった連想ゲームは、栄養学でよく起こる間違いです。

レシチンにはコリンが含まれており、脳の老化防止効果が期待

アルツハイマー病予防効果については、国立健康・栄養研究所の研究結果の取りまとめではおそらく効果がないとされています。

脳の老化防止効果(認知症予防)については、いくつか研究があります。比較的新しい研究では、米国臨床栄養学雑誌に投稿されたこちらの論文など。

コリンの摂取量が低い群に比べ、高い群の認知症発症リスクが28%低かったという研究です。また、コリンの主要な摂取源は卵と肉だったとのこと。

研究結果が少なく断定はできませんが、もしかしたら効果あるかもね、という感じです。

必須アミノ酸をバランス良く含むため、疲労回復や美容に良い

全ての必須アミノ酸を必要量満たしていて、アミノ酸スコアが100

卵と肉と魚と大豆 主要たんぱく質必須アミノ酸の比較
※主要たんぱく質必須アミノ酸比較

アミノ酸スコアについてはこちらの記事をどうぞ


必須アミノ酸を含み疲労回復や美容に良いという意見もあります。

卵のアミノ酸スコアは確かに100で、質の良いたんぱく質といえます。

そして、たんぱく質が不足すれば肌荒れや疲労感を感じる事があるので、一見それらしい意見です。

しかし、日本人のほとんどがたんぱく質摂取量は充足しています

日本は飢餓や飢饉で苦しんでいるわけではなく、どちらかというと飽食の時代で、食べすぎによる生活習慣病に悩まされています。

たんぱく質にしても、過度なダイエットや、食事がとれなくなった高齢者でもないかぎり、不足する例はほとんどありません。

たんぱく質が不足するような食生活を送っている方にとっては、美容や疲労回復に効果があるかもしれませんが、大多数の日本人には当てはまりません

そもそも、ほとんどの肉や魚、大豆もアミノ酸スコアが100であり、その理論でいくと肉、魚、大豆も疲れや美容に良いという話になります。

卵が特別疲労や美容に良いというわけでは無いでしょう。

リゾチームの殺菌効果で免疫を高める

卵にはリゾチームという抗菌物質が含まれており、この効果で生鮮食品の中でも比較的長い期間鮮度を保つことができます。

卵白のリゾチームは抽出して医薬品としても利用されており、気管支炎の薬等に使われています。

また、リゾチーム自体は人間も持っており、唾液や鼻水のような粘液に含まれています。

これもまた、先ほどの連想ゲームをしてしまった例です。

リゾチームは殺菌効果がある」→「リゾチームを含む卵は殺菌効果がある」→「卵は免疫力を高める」という流れです。

一番最初のリゾチームの殺菌効果だけは事実ですが、残りは連想ゲームをしています。

リゾチームに殺菌効果があるからといって、卵として食べたときに殺菌効果を発揮できるかは不明です。

そもそも、殺菌効果がある成分が含まれるから免疫力を高める、というのも意味不明な理論です。

殺菌効果はあくまで菌を殺す効果であり、免疫とはなんの関係もありません。むしろ、有害な菌から体を守る善玉菌まで殺してしまい、むしろ免疫を下げることも考えられます。

まとめ

卵は微量栄養素をバランスよく含むのは事実です。

しかし、完全栄養食品か?というとそれは言い過ぎです。

一般の情報では、美容や老化防止、免疫力向上についての記載も出回っています。

しかし、研究がされているのは老化防止ぐらいで、他の健康効果については連想ゲームから健康効果が謳われています。

今回の記事を通して一番言いたかったことは、栄養学ではこういった誤情報がとても多いということです。

食品中の一成分と研究を抜き出し、効果を記載するような表現です。

たとえば「○○という成分はダイエット効果があった」→「○○という成分を含む食品にもダイエット効果があるはずだ」というような流れです。

成分の研究結果は食品にそのまま適応できないことがほとんどで、この理論は簡単には繋げられません。

こういった表現は、穿った見方をして過度に信用しないよう注意が必要です。

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とっぽ
高校で調理師科を卒業し、調理師免許を取得。管理栄養士学科を卒業し、管理栄養士免許・栄養教諭一種免許を取得しました。現在は都内某所の施設に勤務しています!どうぞよろしくお願い致します。

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