加工肉(ハム、ベーコン等)の摂り過ぎが心不全リスクを高める

2014/06/26

栄養学ニュース

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こんにちは!今日の記事は気になった研究の紹介です。

スウェーデンのカロリンスカ大学の研究報告で、 ハム、サラミ、ソーセージ、ベーコン等の加工肉の摂取が、心不全による死亡リスクを高めるというものです。

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研究内容と結果

研究内容は、45-79歳の37035名の男性を対象とした大規模コホート研究です。1998年に食事調査や生活習慣調査が行われ、その後2010年まで追跡調査されました。

その間に、2891名が心不全と診断され、さらにそのうちの266名が心不全により死亡しました。

様々な因子を調整した結果、 一日75g以上の加工肉を食べていた男性は、25g以下しか食べていなかった男性に比べて、心不全のリスクが28%高いことがわかりました。

また、最も多く加工肉を摂取していた男性は、心不全による死亡リスクが二倍以上に上昇しました。

50gの加工肉を食べるごとに心不全のリスクは8%高くなり、心不全の死亡リスクは38%高くなる計算になったそうです。

また、非加工肉の摂取では、加工肉のような心不全に対する影響は観察されなかったとのことです。


考察

1つの研究ではありますが、非常に大規模な追跡調査であるため研究としての価値は高いと考えられます。 ただし、この研究は海外の研究であるため、日本人の場合を考える際には注意が必要です。

似たような研究に、このようなものがあります。 こちらの研究は、日本人を対象としたもので、約8万人を1995年から2006年まで追跡した結果です。

この研究によると、肉類の総量や赤肉(非加工肉含む)、加工肉の摂取が多いと、大腸がんのリスクが上がるという結果になりました。

ただし、加工肉に限定して見ると、 「加工肉(ハム・ソーセージなど)摂取、日本人の一般的なレベルなら大腸がんリスクとならない。男性・女性のいずれにおいても、加工肉摂取による結腸・直腸がんのリスク上昇は見られませんでした(図1)。

ただし、加工肉摂取量をもう少し細かく10グループに分けたところ、男性において最も摂取量の多い群で、結腸がんリスクの上昇が見られました(摂取量の少ない下位10%の群と比べ、上位10%の群では発生率が1.37倍)。

つまり、日本人が一般的に食べるレベルでは、はっきりとしたリスクにはならないけれども、通常よりもはるかに多量に摂取する一部の男性では、結腸がん発生リスクを上げる可能性は否定できません。

となっているようです。

つまり、外国のように加工肉の摂取量が多量であれば、大腸がんのリスクとなり得るかもしれないが、日本人では加工肉の摂取量が少ないためあまり問題にならないということです。

最初に紹介した研究では、一日75g以上で心不全のリスクとのことでしたが、 国民健康栄養調査の結果によると、成人の加工肉の摂取量は一日あたり16.8gになっています。

そのため、バランスの良い食生活をしている多くの日本人にとっては、あまり気にする必要が無いと考えられます。

ただし、中には偏った食生活や、ハムやソーセージが大好きでよく食べる人もいらっしゃるかと思います。そういった方は、加工肉ばかり食べるのは良くないということを意識し、バランスの良い食生活を心がけると良いと思います。


まとめ

ハムやソーセージなどの加工肉の摂り過ぎにより、心不全や大腸がんのリスクを高める事が示唆されています。 通常の日本人の食生活では問題にならないレベルですが、加工肉を好んで食べる方は、ご注意ください。

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とっぽ
高校で調理師科を卒業し、調理師免許を取得。管理栄養士学科を卒業し、管理栄養士免許・栄養教諭一種免許を取得しました。現在は都内某所の施設に勤務しています!どうぞよろしくお願い致します。

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