肉とキャベツや玉ねぎを合わせるとピンクになるのはなぜ?

2020/02/11

料理雑学

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こんにちは!今日の更新は、肉とキャベツや玉ねぎを合わせて焼くとピンクになるのはなぜ?というテーマです。

先日職場で、「いくら火を通してもハンバーグの中が生焼けっぽいピンクのままだった、なぜ?」という質問を頂きました。

ハンバーグは家でもよく焼きますが、個人的には経験したことはありません。しかし、調べてみるとちゃんと仕組みがあってピンクになるようです。

ということで、火を通してもピンクになってしまう理由と、実際に検証してみたので結果を記載していきます。

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火を通してもピンクなのは硝酸塩の効果

結論から書くと、火を通してもピンクに出来上がってしまうのは、硝酸塩の効果です。

硝酸塩とは、硝酸イオン(NO3-)をもつ塩です。詳しく説明すると長くなるので詳細は省きますが、そういう化合物です。

この硝酸塩は、キャベツや玉ねぎ等の野菜に含まれることがあります

硝酸塩は、肉を発色させる効果を持つため、火を通したのにピンク色になることがあります。

このあたりの仕組みは化学的で結構むずかしいのですが、簡略化して解説していきたいと思います。

肉の色調について

そもそも肉はなぜ赤いのか?というと、肉にミオグロビンというたんぱく質が含まれるからです。

ミオグロビンは酸素を貯蔵するたんぱく質で、人間も持っています。ちなみに、血液中で酸素を運搬しているのはヘモグロビン。

どちらも赤い色調をしています。血は赤いし、肉も赤いですね。

ミオグロビンを含む量で肉の色も違います。豚肉と牛肉を比較すると、豚肉のほうが淡い赤色で、牛肉のほうが色が濃いです。

これは、牛肉がミオグロビンを多く含んでいるためです。

このミオグロビンは、加熱するとメトミオグロビンという物質に変化します

メトミオグロビンは褐色で、この色調の変化で肉に火が通ったと判断されます。

硝酸塩でピンクになるのはなぜ?

次に硝酸塩について。

硝酸塩はバクテリアの働きにより亜硝酸塩という化合物に変わります。

亜硝酸塩はミオグロビンニトロソメトミオグロビンに変化させます。

ニトロソメトミオグロビンは熱が加わるとニトロソミオクロモーゲンという色素に変化します。これが安定したピンク色の色素です。

カタカナがいっぱいでよくわからないかもしれませんが、要約すると、硝酸塩があると、肉のミオグロビンが変化してピンク色の色素になる、ということです。

なので、タマネギやキャベツ等に硝酸塩が含まれていると、肉と反応して焼き上がりもピンクになってしまうということです。

硝酸塩や亜硝酸塩は、食品添加物としても使用されています。

身近なところでは、ハムやベーコンのような加工肉。ハムやベーコンは、火を通しているにも関わらず、ピンク色をしています。

これは、発色剤として亜硝酸塩を添加しているためです。亜硝酸塩を添加しないと、灰色っぽいハムやベーコンが出来上がります。

亜硝酸塩なしのベーコン

上記の画像はイオンで買った、亜硝酸塩なしのベーコンとありのベーコン。

亜硝酸塩なしのベーコンは、灰色っぽくなっています。

ピンクになるのか検証してみた

上記の理論をもとに、実際にピンクになるのか検証を行ってみました。

肉とキャベツや玉ねぎを合わせるとピンクになるのはなぜ? 画像

検証には、家にあった豚ひき肉を使用し、4つのパターンのハンバーグを用意しました。

1,ひき肉のみ

2,ひき肉と玉ねぎ

3,ひき肉とキャベツ

4,ひき肉とキャベツの煮汁

玉ねぎとキャベツは、肉と同量ぐらいの割合で入れています。

また、硝酸塩は水溶性なので、キャベツを煮れば溶け出して、発色剤のような効果を発揮するのでは?と思い煮汁を混ぜ込んだタネも用意しました。

これらのタネを用意し、また肉と硝酸塩が反応する時間を設けるためにタネを作って半日ほど寝かせて蒸し焼きにしました。

肉がピンク色に 検証画像1

両面を焼き、少量の酒を入れて10分程度蒸し焼きにしました。

小ぶりに作ったので、中までしっかり火が通っているはず。

これをカットしてみると…

なんということでしょう!玉ねぎやキャベツを混ぜると肉がピンクに…って、あれ?

うーーーん、どれも変わらない気がします。ピンクには変化していないですね。

色が変化した写真を撮りたかったのですが…、残念。

結論

検証は失敗に終わってしまいましたが、失敗から学べることもあります。

今回の方法で、なぜピンク色に変わらなかったのか?おそらく、野菜に硝酸塩がなかった、もしくは少なかったためだと考えられます。

野菜の硝酸塩の含有量は、土壌や肥料によって変わるようです。とくに、肥料を与えすぎると蓄積しやすいらしい。

つまり、キャベツや玉ねぎを混ぜ込んでも、必ずしもピンクになるというわけではないという事です。

また、今回の検証では気にしませんでしたが、ミオグロビンの量が多い牛肉のほうが、豚肉よりもピンクになりやすいのかも。

まあ豚肉を使っているハムでも、発色剤の効果はしっかり現れているので、変わることは変わるのでしょうが…。

もし硝酸塩の入っている野菜だったとしても、混ぜ合わせてすぐ焼くことで焼き上がりがピンクになるのを防ぐことができます。

硝酸塩と肉が反応する時間が必要ですからね。逆にいうと、タネを混ぜ合わせて、おいておくとピンクになりやすい(野菜にもよるが)ということです。

まとめ

今回検証では再現できませんでしたが、肉とキャベツ、玉ねぎ等の野菜が合わさったとき、加熱しても生焼けのようなピンクに出来上がることがあります。

それは、野菜に含まれる硝酸塩の効果で、肉の色調が変化するためです。

色調が変化しているだけで、害はないし食べられますが、飲食店などでは提供しにくくなってしまうかもしれませんね。

野菜に硝酸塩が含まれていた場合、混ぜ合わせてすぐ加熱することで、色調が変化しにくくなるかもしれません。





記事をお読み頂き、ありがとうございました。

最後にちょっとした広告を。

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自己紹介


とっぽ
高校で調理師科を卒業し、調理師免許を取得。管理栄養士学科を卒業し、管理栄養士免許・栄養教諭一種免許を取得しました。現在は都内某所の施設に勤務しています!どうぞよろしくお願い致します。

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