抗酸化物質は、がんを悪化させる?

2014/08/25

栄養学ニュース

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kousanka

国立健康栄養研究所が提供している、リンクdeダイエットにて興味深いニュースが記載されていたので紹介します。

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>抗酸化物質は何故がんを悪化させる?

抗酸化物質とは、自身が酸化することにより、他の細胞を酸化から守るような物質です。 酸化は食品においても、人体においても有害であるとされ、抗酸化物質は体に良いとされていました。 有名なものには、リコピンやβ-カロテン等のカロテノイド、カテキンやアントシアニン等のポリフェノール、 ビタミンCやビタミンE等があります。

上記のものは一般的には体に良い影響を与えると言われています。しかし、大規模なコホート研究をまとめた解析では、β-カロテンはむしろ肺がんのリスクを上げるという結果がでたり、 他の物質も良いとする研究がある一方、無効だったとする研究もあったりと、エビデンス的にはまだまだ蓄積が必要といった感じです。(β-カロテンのリスクについては日本人の食事摂取基準にも記載されています。)

今回紹介されていた論文では、がんに対して無効か、もしくは悪影響が出てしまう研究がある事について、 以下の様な論考をまとめています。

「過酸化水素のような酸化物質は、微量なら細胞に欠かせないが、大量にある場合には障害を与えるので、細胞は抗酸化物質を生成して過剰な分を打ち消す。抗酸化物質のサプリメントを摂取することは、過剰な活性酸素種(ROS)の効果を打ち消す意味があり、特にROSはがんの異常増殖を助けるためにがん細胞で大量に生成することからも、抗酸化物質の摂取は有効だと考えられてきた。

研究チームは、抗酸化サプリや抗酸化物質に富む食品の大量摂取ががん予防に有効性を示さない原因として、抗酸化物質が、がん細胞内のROSを生成する肝心の場所、ミトコンドリアに作用しないためであるとしている。

細胞が生成するROSと抗酸化物質は共にがん細胞中に高濃度で存在している。逆説的だが、高濃度の抗酸化物質は、酸化物質からがん細胞自身を守るために使われており、それによってがんは増殖を続けることができる。

研究チームは、酸化物質を増やす治療法が有効な場合があることを指摘している。放射線療法ががんを殺傷するのは細胞内の酸化物質を劇的に増加させるためである。化学療法剤も同様に酸化反応を通してがん細胞を殺傷する。」 

リンクdeダイエットより

がんに有効でない理由として、 がんが増殖するための活性酸素は、ミトコンドリア内にあり、抗酸化物質はそこには作用しないこと、 酸化物質は、がんを攻撃するためにも使われており、高濃度の抗酸化物質を得ることにより、 むしろがん細胞を守ってしまうという理由を挙げています。

今までは活性酸素などが細胞にダメージを与え、ダメージが蓄積する事により癌化する事もあるかなと思っており、ならば抗酸化物質は有効では、と考えていました。

そういう側面もあると思いますが、一方でがん細胞に対する酸化攻撃から、 癌を助けてしまう可能性もあるわけですね。 こうなるともう理屈ではわかりませんので、 実際にどうなのかは、実際に投与してみた質の良い研究を待つことになります。 今後の詳しい研究に期待です。

自己紹介


とっぽ
高校で調理師科を卒業し、調理師免許を取得。管理栄養士学科を卒業し、管理栄養士免許・栄養教諭一種免許を取得しました。現在は都内某所の施設に勤務しています!どうぞよろしくお願い致します。

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